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薩摩川内サテライトキャンパスを鹿児島純心女子大学に設置

2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故では、「被ばく医療科学」分野の人材不足が明らかとなりました。具体的には、単に放射線の基礎的知識(放射線生物学)、放射線から身を守ることについて(放射線防護学)や放射線被ばくの健康影響(被ばく影響学)に精通しているのみならず、万が一、原子力災害が発生したときに備えて、事故による健康へのリスク評価(リスクアセスメント)を行い、さらにはそのような評価をもとにして放射線被ばくと健康影響について住民にわかりやすく伝える(リスクコミュニケーション)ことのできる人材です。福島での原発事故の際には、このような人材が圧倒的に不足していたために、社会的な混乱が起こりました。

この教訓を踏まえ、長崎大学と福島県立医科大学は2016年、「災害・被ばく医療科学共同専攻」という大学院(修士課程:二年間)を立ち上げ、特に住民と向き合う立場である保健師や看護師、さらには救急救命士や診療放射線技師の人材育成を開始しました。一方で、このような人材は原発立地自治体にこそ必要であり、人材の育成が急務です。

そこで長崎大学は2019年度から、九州電力川内原子力発電所がある鹿児島県薩摩川内市の鹿児島純心女子大学と連携して、「災害・被ばく医療科学共同専攻」のサテライトキャンパスを同学内に設置し、被ばく医療科学分野の人材育成を開始することになりました。具体的には、毎年若干名の大学院生をサテライトキャンパスに受け入れ、インターネット会議システムを活用して長崎大学、福島県立医科大学で行われる講義をリアルタイムで受講してもらいます。二年次には長崎大学や福島県立医科大学、それに長崎大学が拠点を設置している福島県川内村で行われる実習に参加し、実際の線量測定やそれを基にした住民とのリスクコミュニケーションについて学びます。その後修士論文を作成して修了者には修士(看護学)または修士(医科学)を授与する予定です。九州電力川内原子力発電所周辺自治体の保健師を中心に、医療従事者や救急救命士等を受け入れ、地域における原子力災害医療対策の中心的役割を担う人材を、鹿児島純心女子大学や薩摩川内市との緊密な連携を基盤として育成していきたいと考えています。

本サテライトキャンパスの開校は平成31年4月を予定していますが、初年度入学希望者を対象とした入学試験を本年7月19日(木曜日)に長崎大学医学部で行います。それに先立ち、専攻の概要および入試についての説明会を、5月15日(火曜日)午後6時から、薩摩川内市役所で行います(詳細はチラシ参照)。

また、「災害・被ばく医療科学共同専攻」についての詳細については、本専攻のホームページ(http://www.fmu.nagasaki-u.ac.jp/)を御参照ください。

説明会チラシ

説明会チラシ