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多く皆さまのご支援をお願いします より効果の高い肺炎球菌ワクチンを迅速に届けたい ~肺炎球菌ワクチン効果の一括評価法の開発に着手~

国立大学法人長崎大学(学長:河野 茂、所在地:長崎県長崎市)は、クラウドファンディングサービス「READYFOR」にて、「長崎大学:肺炎球菌ワクチンの効果に対する一括評価方法の開発」を公開しました。研究にかかる試薬購入費などに対して、700万円を目標に、本日2022年10月11日(火)から12月20日(火)まで寄付を募ります。(プロジェクトURL:https://readyfor.jp/projects/NU-VIRG

 

*クラウドファンディングチラシ(クリックすると拡大します)

 

■肺炎球菌感染症とワクチンの研究背景
我が国の高齢者の死因として大きな割合を占める「肺炎」。その割合は年々増加傾向にあります。「肺炎球菌」は細菌性肺炎を引き起こす原因菌であり、100種類の血清型(肺炎球菌の表面にある抗原物質のタイプ)が存在します。この病気の予防のために、現在、24種類の血清型を用いたワクチンが作られています。ただし、この24種の血清型に対してできる抗体量は、ワクチンを接種された方の年齢、性別、免疫状態によって個人差があり、その見極めは、よりワクチンの恩恵を受けるべき高齢者の命に係わる非常に重要な問題です。

従来は、ワクチンに含まれる血清型に対して抗体が効果的にできているかを血清型(抗原)ごとに評価するELISA法が使われてきました。しかし、この方法はワクチンに対する抗体産生量を、抗原ごとに検査するため、検査に必要となる血液量が多く、コストもかかるうえ、どうしても長い時間がかかってしまう、非効率的な評価方法でした。

今回、私たちは、ワクチンに対する抗体産生量を、ELISA法のように抗原ごとではなく、24種の抗原に対して一括で調べる方法の開発に取り組みます。これにより、要する血液量も手間もコストも大幅に低減でき、何よりも評価にかかる時間を格段に短縮することができるため、重症な肺炎にかかるリスクを減らす効果的な肺炎球菌ワクチンの迅速な提供という大きなメリットが期待できるのです。

 

■本研究のポイント
肺炎球菌ワクチンの製造販売承認や新規ワクチン開発は日進月歩で進んでいます(9/26に新規ワクチンが製造販売承認)。よって、肺炎球菌感染症を予防する点で、現行のワクチンの有効性や、予防効果の優れたワクチン開発が重要な焦点になります。しかし、現在まで全24ワクチン血清型の予防効果の一括評価法は国際的にもありませんでした。そこで、より効果的なワクチン政策や新規ワクチンの開発をサポートできるように、我々は肺炎球菌ワクチン効果の一括評価法を開発します。具体的には、全24種のワクチン血清型に対する抗体産生量(抗体価)を一度に測定する方法です。この新たな方法では、ELISA法と比べて費用・労力・時間・血液量の全てを大幅に削減できます。それにより、これまで明らかにされることのなかった高齢者や小児、免疫不全の人の免疫状態の量的評価が可能になります。今回のクラウドファンディングでは、抗体価を一括して測定するために使用する、全24血清型に対応した微粒子ビーズの開発を進めるために、皆様からのご寄付を研究資金として充てさせていただきたいと考えております。

■クラウドファンディングプロジェクト概要
・タイトル「長崎大学:肺炎球菌ワクチンの効果に対する一括評価方法の開発」
・URL:https://readyfor.jp/projects/NU-VIRG
・目標金額:700万円
・募集期間:2022年10月11日(火) 10時 ~12月20日(火) 23時  70日間
・資金使途:「肺炎球菌ワクチンの効果に対する一括評価方法の開発」のための試薬購入費など
・形式:寄付金控除型 / All in方式
 ※All in方式は、目標金額の達成の有無に関わらず、集まった寄付金を受け取ることができる形式です。

■長崎大学ワクチン免疫研究グループとは
「長崎大学ワクチン免疫研究グループ(Nagasaki University Vaccine Immunology Research Group (NU-VIRG))」は、長崎大学熱帯学研究所に所属する加藤健太郎助教(環境医学部門・生態疫学分野)とドバデル・ビム・グッパル准教授(臨床研究部門・呼吸器ワクチン疫学分野)により、『肺炎球菌ワクチンの効果に対する一括評価方法の開発』を目的に結成された研究グ ループです。研究者が属する分野では10年以上にわたり肺炎球菌研究を行っており、日本成人肺炎研究グループ(APSG-J)を含む、様々な研究グループを主導しています。本研究グループのメンバーは分子生物学、免疫学、細菌学に関する専門知識ならびに実験手技を有しており、個々の長けているものを結集して、肺炎球菌ワクチンの有効性の評価法の開発プロジェクトを推進しています。今回、肺炎球菌ワクチンの全血清型をターゲットにする点で、国際的にも初めてとなる一括評価法の開発に着手します。

【本リリースに関するお問い合わせ先】
●プロジェクト概要に関するお問い合わせ
長崎大学ワクチン免疫研究グループ
E-mail: nuvirg.cf*gmail.com(*を@に変更して下さい)

●クラウドファンディングについて
長崎大学広報戦略本部校友会・基金室
E-mail:crowd*ml.nagasaki-u.ac.jp(*を@に変更して下さい)