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長崎大学薬学部生4年 李明恩さんによるビジネスモデル「メディクル」がミライ企業Nagasakiの「チャレンジ部⾨」に選定されました。

長崎大学 薬学部 薬学科 4年 李明恩(Meion Lee)さん

・メディクルとは

薬局では、毎年約100億円以上の医薬品不動在庫が発生し、廃棄されています。コンビニエンスストアよりも薬局が多いこの時代。薬局1店舗あたりで例えると、毎年平均20万円~40万円ほどの医薬品不動在庫が発生しています。どうにかしてこの薬たちを活用できないか。

「薬をメルカリのように譲渡するアプリがあれば…」

「でも、1錠あたり価格が低い薬は郵送費でむしろ赤字かも」

「だったら、対面でも受け渡しできるようにご近所さん同士でやりとりできるようにしよう」

このような発想で練り上げたビジネスモデルが「メディクル」です。

メディクルについての説明


・ミライ企業Nagasakiとは

⻑崎のミライを創っていく⻑崎県による、⻑崎県⺠のための新規事業創出促進事業です。

李さんの「メディクル」は、起業のアイデアを事業アイデアに創り上げていく「チャレンジ部⾨」に選定され、100万円の資金提供をいただきました。

「メディクル」を立ち上げた薬学部4年生の李明恩さんにお話を伺いました。

「チャレンジ部⾨」に選定されてからどのような活動を行っているのですか?

今は実証実験と、アプリのプロトタイプ開発を同時並行で行っています。

「メディクル」で実際に行うことは、フリーマーケットを想像していただくとわかりやすいのですが、参加者が集まらないと意味がないんです。本当に現場の薬剤師さんは薬の在庫問題を解決したいと思っているのか、実際にアプリを作成するとどれくらいの活用が見込めるか、などを実証実験で調べています。今は私の作ったパンフレットを見て、長崎県の20を超える薬局が参加してくれています。

李さんが作成した実証実験の為のパンフレット

 
アプリのプロトタイプ開発はどうですか?

まずはアプリでやりたいことを書き出すところから始めました。医薬品の不動在庫のやりとりはもちろんですが、調剤で気になったことを聞き合える、チャット機能等も追加したい。でもアプリのユーザーフローを作成して、実際に見積もりを取ったところ、開発費が1千万円を超えるんです!そこから、本当に必要な機能だけを厳選しました。開発費が膨大なので、最終的にはアプリのプログラミングも自分で行う予定です。

やりたいことを詰め込んだアプリのユーザーフロー
必要なものを絞り込んだアプリのユーザーフロー


活動をする中で印象的なことはありましたか?

薬剤師の皆さんが協力的で「コミュニティ」が求められていると感じたことです。「メディクル」はもちろん薬の在庫問題解決が目的ではあるのですが、薬剤師さんが気軽に行き来するきっかけになってほしいとの思いもあるんです。例えば、薬局間で繋がりを得るために「地域医療を頑張りましょう!」と前面に出すのは小恥ずかしいけれど、「メディクル」アプリを通して薬の在庫問題を解決する傍ら、ご近所の薬局さん同士で挨拶をしたり、相談したりする関係ができればと考えているので、そこに共感いただけたようで嬉しかったです。


メディクルは「繋がり」を特に大切にされているのですね。

そうですね。地域医療が強調される中で、普段からの医療従事者同士の繋がりが重要になってきていると感じています。お医者さん同士はコミュニティが確立していて繋がりが強いのですが、薬剤師さんは集まるため、繋がるためのコミュニティがないんですよね。

あと、日本に来てから災害の話をよく聞くので敏感になりました。薬剤師は災害時に人々を支えるように法律で定まっているので、もしも、ひどい災害が発生した際にこのコミュニティが繋がっているとより効率的に地域を支えられると思っています。


今後の活動についてお聞かせください。

ミライ企業Nagasakiで選定されてからの活動は今年度で終了しますが、実証実験をより細かな形で行うため、第2弾を長崎市のどこかの町で限定すること考えています。やることはたくさんありますが、薬学部の学生として自分にできることを頑張ります。


本日は、インタビューをお受けいただきありがとうございました。

李さんの活躍、今後も楽しみにしています。