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松田浩名誉教授(工学研究科)が日本実験力学会功績賞を受賞 

 松田浩名誉教授(工学研究科)が日本実験力学会学会賞特別賞(功績賞)を受賞しました。この賞は、実験力学分野における学術、技術の進歩、発展、向上に寄与し、永年の業績顕著な個人に授与されるものです(https://jsem.jp/award/index.html)。
 松田浩名誉教授は、土木工学のインフラ維持管理に関わる分野、特に光学的計測手法を用いた実用的計測法の開発やそれらの技術の建設工学分野への普及と実用化に関して、多くの業績があります。学内では長崎大学工学部インフラ長寿命化センターを発足させてそこを拠点にして、道路インフラの維持管理技術者養成を行うなど、人材育成に関する貢献も大です。
 また、日本実験力学会の副会長、理事、論文審査委委員長と永く実験力学会の運営と発展に寄与されてきました。このように実験力学の分野における学術、技術の発展ならびに日本実験力学会における企画、立案、運営活動への貢献も顕著です。
 以上のように、研究、人材育成、並びに学会運営における、総合的な業績に対して、栄誉が贈られました。なお、特別賞のうち功績賞の受賞者には、Distinguished Specialist in Experimental Mechanics (DSEM)(実験力学高度専門術士)の称号も併せて授与されます。

<松田浩名誉教授よりコメント>
 私が光計測に関する研究を開始したのは2000年頃です。2002年の土木学会全国大会で全部門を虱潰しに調査したところ、超音波やAEなどの音に関する研究は、土木分野では盛んに行われていましたが、光計測に関する研究は皆無でした。そのような状況下で、土木学会に投稿した論文に「全視野計測」という用語を使ったところ、「そのような用語はない、勝手に造語しないように」との査読意見が返ってきました。土木工学分野では光計測はだめなのかなあと諦めかけていましたが、実験力学Vol.2 No.1には「光学的全視野応力・ひずみ計測法の国際標準化について:On Standardization of Full-field Optical Methods in Stress and Strain Measurements」解説記事が掲載されていましたし、Non-Destructive Testing in Civil Engineering 2003でもドイツのグループによるOptical Methodsのセッションで私と同じ研究がありました。これを契機として私は光計測の研究を継続することを決意しました。お陰で光計測に関する研究に関して、研究代表者として科学研究費研究の基盤B(8回)、萌芽(3回)、及び国土交通省の建設技術研究開発(4回)の助成を受けました。
 振り返れば、衆目を集めてはいませんでしたが、自分が直感したこと、おもしろいことと思ったことを探求し続けていったことが実を結んだのだと思います。また、この姿勢を維持できたのは、広く異分野の方々と交流してきたことに拠っていると思います。
 令和5年3月末日で定年退職しました。2月に土木学会よりインフラメンテナンスマイスター賞、8月にこの日本実験力学会より功績賞を受賞したことを大変光栄に思っています。退職して自由な時間が増えましたので、もう少しインフラ整備に関わっていこうと思います。