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  • 社会連携・貢献

JICA草の根・シャーガス病母子感染対策向上プロジェクト(COMICH)・シャーガスカンファレンスを開催

 熱帯医学・グローバルヘルス研究科(TMGH)では、2024年2月1日より、JICAからの業務委託を受けて草の根技術協力事業(パートナー型)「シャーガス病母子感染対策向上プロジェクト」(Control MaternoInfantil de la enfermedad de Chagas:通称COMICH(コミチ)プロジェクト)を実施し、南米ボリビアのサンタクルス県ラグアルディア市で活動を始めています。
 顧みられない熱帯病の一つであるシャーガス病は、病原体(Trypanosoma cruzi)がサシガメ(昆虫)に媒介されヒトに感染して起こる寄生虫疾患であり、ボリビアにおける年間の出産数や母親のシャーガス病抗体陽性率、母子感染の割合等を考慮すると、感染の可能性がある乳児は年間約300~600人にもなると考えられています。
 4月14日は世界シャーガスデイであり、2024年4月15日(月)にプロジェクトの協力機関であるガブリエル・レネ・モレノ自治大学(UAGRM)と協力して「シャーガスカンファレンス」を実施しました。
このカンファレンスは2部制になっており、午前中の部はシャーガス病の疾患・症状・診断・治療に関し、COMICHプロジェクト・ローカルコンサルタント2名(Dr. Carlos Ramos, Dr. Einar Ampureo)が登壇しました。また、午後の部はプロジェクトサイトであるラグアルディア市で実施したシャーガス病母子感染に関連した研究の発表(竹原由美子コーディネーター)が行われ、平山謙二プロジェクトマネージャーも日本から登壇し、LAMP法を使った新しい新生児の診断方法について発表しました。その後、2024年1月に長崎・関東で実施されたJICAボリビア国別SDGs・開発計画促進研修「シャーガス病母子感染対策向上プロジェクト」に参加したUAGRM、サンタクルス保健局所属の研修員3名(Dra. Nidia Soria, Ing. Ronaldo Condri, Dr. Mauricio Garcia)から、日本での学びや経験、これからのプロジェクトに対する戦略を共有しました。

オンラインでご登壇された平山謙二教授
カンファレンスの様子

 また、UAGRMの卒業生で、現在JICA・SDGsグローバルヘルスリーダーコースに在籍し、TMGHヘルスイノベーションコースの1年生でもあるAndrea Carvalloさんもオンラインで登壇し、学生のよいロールモデルとなったと同時に、遠い日本で頑張っている彼女の姿がスライドに大きく映されると、参加者が思わず涙する場面もありました。
 午前の部で205名、午後の部で250名の聴講があり、UAGRMの学生や教員以外にも、ラグアルディア市内の保健センターの所長・検査技師・シャーガス担当看護師の方々も仕事の合間を縫って足を運んでくださいました。また、聴講者の中には、このプロジェクトにぜひ参加したいと手を挙げる学生もいました。
 草の根・COMICHプロジェクトはまだ始まったばかりです。長崎大学、ラグアルディア市の保健センター、カウンターパートであるサンタクルス保健局、UAGRMと協力しながら、シャーガス病の母子感染対策が向上するよう一歩ずつプロジェクトを進めて参りたいと思います。
(活動はFacebookで随時報告して参ります。 COMICH Facebook


カンファレンス集合写真(午前の部)

カンファレンス実施風景(午後の部)

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