2025年06月06日
本学にて令和7年2月25日・26日に試験を実施し、3月8日に合格発表を行った令和7年度長崎大学入学者一般選抜(前期日程)の個別学力検査科目である理科「物理」において、正答とする選択肢とは別の選択肢も正答となる出題ミスがあることが判明しました。
この出題ミスによる得点の見直しを行った結果、当初に不合格となっていた受験者のうち、2名が合格者となったものです。
公正かつ正確であるべき入学試験において、このような事態となり、受験者および関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
1.経緯
把握の発端は、令和7年5月25日(日)夜に外部の方より本学公式問い合わせフォームを通じて、物理の大問3(b)に関する問い合わせがありました。
5月26日(月)に関係者において事実確認を行った結果、大問3(b)において「ウ」のみを正答としておりましたが、「イ」も正答とすべき内容で出題ミスであることが確認されました。
2.原因分析と問題点
(1)原因
大問3の(b)と(c)は平面波の速度ベクトルについて、(b)ではその向きを(c)ではその大きさを問う問題でした。(b)では「向きが同じベクトル」を選択させていますが、「向きが同じ単位ベクトル」の選択肢「ウ」だけを正答としていました。しかしながら、問題文で設定した角度θの範囲では選択肢「イ」も「向きが同じベクトル」として妥当な解答となっており、正答が2つ存在することとなっていました。点検体制としては、作題者と点検委員との間で、往復3回の点検が点検票に基づいて行われています。点検票には「択一問題の場合、複数正解はない」という点検項目が設けられていたものの、複数名による点検の過程で当該項目が機能せず、結果として正答が2つ存在する選択問題となってしまいました。
(2)問題点
点検票には「択一問題の場合、複数正解はない」などの点検項目が明記されており、点検過程において確認作業は行われていましたが、選択肢それぞれの妥当性についての検証が十分であったとは言い難く、結果として見落としが生じる要因となりました。
▶ミスのあった設問
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3.対応
物理を受験した受験者全員の得点の見直しを行い、受験者723名中88名に加点があったため、改めて合否判定資料を作成し、該当学部の教授会において合否判定を行った結果、当初は不合格となっていた受験者のうち、2名が合格者となることが判明しました。当該受験者2名以外の受験者の合否への影響はありませんでした。
合格者となった2名については、合否判定後すぐに個別訪問を行い、謝罪と経緯説明を行いました。
なお、新たな合格者が本学に入学を希望される場合は、本学として学修および生活支援について最大限に支援を行うこととしております。
また、本学に入学していれば負担する必要がなかった費用等については、ご家族と相談のうえ、必要に応じた補償を行うよう誠意をもって対応いたします。
4.再発防止策と信頼回復に向けた取り組み
(1)再発防止策
点検体制の強化策として、各選択肢問題において「正答以外の選択肢が誤りであること」を確認するための点検項目に正答とならない根拠を記録することとします。また、「択一問題」以外の点検票の点検項目について、運用上に曖昧な点がないか検証いたします。これらの内容を具体的に検討するため、本学では再発防止対策検討委員会を発足させました。現在、原因の徹底分析と、実効性ある再発防止策の策定を進めています。
(2)信頼回復への決意
教育機関としての責務を改めて自覚し、全学一丸となって再発防止と受験者への誠意ある対応に努めてまいります。
また、研修を通じた教職員の意識改革と継続的な組織体制の改善を図り、信頼の回復に努めてまいります。
本件に関する長崎大学長コメント
このたび、本学の令和7年度長崎大学入学者一般選抜(前期日程)の理科「物理」において出題ミスがあったことが判明しました。
このことにより、新たに2名の方を合格としました。入学者選抜試験においては、公平性と正確性が強く求められるなか、受験者の進路に大きな影響を及ぼす事態を招き、受験者の皆様をはじめ、ご家族の方々や関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを、深く反省するとともに、長崎大学を代表して心よりお詫び申し上げます。
本学といたしましては、影響を受けた受験者の皆様のお気持ちに寄り添い、誠心誠意対応に努めてまいります。
今後は、今回の事案を厳粛に受け止め、作題・点検作業の問題点を徹底的に洗い出すとともに、教職員の意識改革を図り、再発防止に全力で取り組んでまいります。
令和7年6月6日