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長崎大学の学生が修学旅行で長崎を訪れた中学生と一緒に平和学習を行いました

 2025年5月13日、長崎大学教育学部平和・多文化センター主催のもと、修学旅行で長崎を訪れていた京都市の向島秀蓮(むかいじましゅうれん)小中学校の生徒と本学の学生が合同で平和学習を行いました。

 会場には中学3年生およそ80人と教育学部を中心に15人の学生が集まり、初めに10グループに分かれて自己紹介を含めたアイスブレイクを行いました。
 お互いの緊張を少しほぐした後、向島秀蓮小中学校の生徒が「平和な世界をつくるために何ができるのか」というテーマで、事前学習で準備してきたポスターを持って自身の考えを発表。


 生徒が考える平和に向けての課題は、戦争や核兵器、貧困や人種差別など多岐にわたり、事前学習の場で生徒の皆さんが一生懸命考えてきたことが伝わってくるものでした。発表を聞き終えると、今度は学生が感想やアドバイスを出す番です。「自分にできる身近な解決策を盛り込んだ良い発表だった」と学生に評された時は、生徒たちも嬉しそうな表情を見せていました。学生と生徒の間でコミュニケーションが活発になるにつれて、リラックスした雰囲気が流れ、アドバイスを受けた生徒たちは、学生らに更に質問をして交流を深めることができました。

 プログラムの後半は、多文化社会学研究科の西山心さんによる平和講演が行われ、かつて長崎に原子爆弾が投下された歴史や、現在も世界には約12,000発の核兵器が存在している現状について説明がありました。さらに西山さんは、「自分の考えを伝え、相手の声に耳を傾ける“対話”こそが、平和には欠かせない」と言います。「戦争がない状態でも、毎日不安を感じていたり、人との関係がうまくいかなかったりすると、“平和”とは言いにくい」と語り、まずは身近な人や環境における平和に目を向け、対話をし、それを広げていくことで、世界平和や国際的な紛争について考える力に繋がると伝えました。生徒たちは真剣な表情で耳を傾け、平和について考える貴重な時間となりました。

 
 最後に、向島秀蓮小中学校の代表生徒が挨拶に立ち「自分たちに何ができるのかを考え、たくさんの人に広めていくことを大切にしたいと思います」と平和学習を振り返りました。

 平和講演を行った西山さんは「交流した生徒の中には、ウクライナの戦争がなくならないのはなぜ?という戦争の話をする人や、日本には戦争はないけど犯罪はあると言い、犯罪について調べてみたという人、貧困や差別について語る生徒もいました。それぞれが自分なりに平和について考え、持っている知識や興味を活かして、質の高い発表を行っていたのが印象的でした。今回の活動は、長崎大学が掲げる被爆80年の『継承と行動』というテーマにもつながる、意味のある取り組みだったと思います。こうした機会をいただけたことに感謝しています」と語りました。

 今回の平和学習では、被爆地・長崎にある長崎大学の学生と、京都市の中学生が直接交流し、共に平和について考えることができました。異なる世代や地域の人々が共に語り合い、考え合うこのような学びの場は、平和を現在・未来の課題として捉える大切さを感じさせる機会となりました。