2025年06月10日
世界を進化させる知的財産とクリエイターのアイデアを発信するメディア「知財図鑑」が主催する「知財番付2024」において、長崎大学の永安武学長らが開発に携わった医療用ピンセット「サメ肌鑷子(さめはだせっし)」が将来性部門の銅賞を受賞しました。
「知財番付」は、は2020年より毎年開催されており、優れた技術やサービス、アイデアを評価・発信することを目的としたアワードです。2024年は「AI」「AGI(汎用人工知能)」をはじめとする先端技術や、「新素材」「フードテック」「医療・ヘルスケア」「スマートデバイス」「SDGs」等の分野から100件を超える知財が集まり、その中から以下の4つの評価指標に基づく一次審査を経て40件の知財がノミネートされました。最終的な「部門賞」(金・銀・銅賞)は12月24日(火)に知財図鑑WEBサイト、およびSNSにて発表されました。
【4つの部門】
①専門性:特定の産業やシーンにおける課題解決力があるか?
②応用性:他分野の産業や技術にも活かせる展開の可能性があるか?
③創造性:従来の表現活動や生活を拡張する創造性があるか?
④将来性:次世代のスタンダードをつくる基盤となりえるか?
今回受賞した「サメ肌鑷子」は、サメ肌の微細構造を応用し、薄い膜を傷つけることなく確実に把持することが可能な医療用ピンセットです。従来の鑷子では困難とされていた「薄い膜の組織を傷つけずにつかむ」という課題を克服し、手術時の安全性と操作性を大きく向上させるほか、他医療器具・機器への活用や、国内外の医療機関やアカデミアなどへの展開が期待されることが評価されました。
本技術は、永安学長が外科医としての臨床経験から着想を得て、工学部の山本郁夫副学長との医工連携により研究開発を進めたものです。また、精密な金属加工技術を有する企業(KTX社)の協力を得て、最新のレーザー加工技術を用いて製品化が実現しました。
本学では、医療と工学の融合による「ハイブリッド医療人養成コース」を通じて、学際的な研究開発を推進しており、「サメ肌鑷子」はその成果の一つです。今後は、国内外の医療機関への普及を目指すとともに、製造業、福祉、食品、ロボティクスなど他分野への応用も期待されています。
なお、この医療用技術を応用した一般向けのサメ肌ピンセットが、本学の大学生協にて税込6,000円で販売中です。細かい物をしっかりとつかめるその性能を、ぜひ実際にご体感ください。
![]() 開発者の永安学長(左)と山本副学長(右) |
![]() 記念トロフィーとサメ肌鑷子 |
・知財図鑑 / サメ肌攝子
https://chizaizukan.com/property/samehada-sessi/
・知財図鑑 / 【知財番付2024】入賞40選─今年の注目技術から知財ハンターが選ぶ、“すごい知財” 発表
https://chizaizukan.com/pickup/special/6iO19eSnjmp0nTxaVtiTGT/
・「知財番付2024」発表動画(00:51:45から将来性部門の発表)
https://www.youtube.com/live/iwiPfiPrFI0
・長崎大学生活協同組合オンラインショップ / オリジナル鮫肌鑷子
https://coop.kyushu-bauc.or.jp/nu-coop/info06/info06_276.html