2025年06月17日
熱帯医学・グローバルヘルス研究科(TMGH)では、2024年2月1日より、JICAからの業務委託を受けて草の根技術協力事業(パートナー型)「シャーガス病母子感染対策向上プロジェクト(Control MaternoInfantil de la enfermedad de Chagas:通称COMICHプロジェクト)」を実施し、南米ボリビア・サンタクルス県ラグアルディア市を拠点に活動を展開しています。
シャーガス病は、顧みられない熱帯病(NTDs)の一つであり、吸血性昆虫サシガメによって媒介される寄生虫感染症です。母親が感染している場合、胎盤を通じて胎児に感染する母子感染も、重要な感染経路のひとつです。ボリビア国内では、年間約300~600人の新生児が母子感染のリスクにさらされていると推定されています。
COMICHプロジェクトでは、(1)医療従事者と地域住民への教育・啓発活動、および(2)情報システムの開発という二つの柱を軸に、母子感染対策の強化を目的とした支援を行っています。
2025年5月29日・30日には、スペインのIS Globalが主催する「第19回シャーガス国際ワークショップ(19th Workshop on Chagas Disease – IS Global)」が、ボリビア・サンタクルス市内のスペイン大使館にて開催されました。本ワークショップには、ボリビア国内外からシャーガス病の研究者や実務家が多数集い、知見の共有と意見交換が行われました。
本学からは、COMICHプロジェクトのリーダーである平山謙二教授が登壇し、これまでの20年以上にわたるシャーガス病研究の成果と、現在進行中のCOMICHプロジェクトの概要について発表を行いました。ボリビア国内でこのような国際的なシャーガス病ワークショップが開催されるのは今回が初めてであり、同感染症に対する国際的な関心の高まりが示される意義深い機会となりました。
本プロジェクトは2027年1月までの3年間の予定で実施されており、現在は折り返し地点を迎えています。今後も引き続き、現地の関係機関や地域住民と協力しながら、ボリビアにおけるシャーガス病母子感染対策の向上に貢献してまいります。
なお、プロジェクトの活動の様子は、プロジェクト公式Facebookページにて随時発信しています。ぜひご覧ください。
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