2025年06月20日
6月14日(土)、長崎大学文教キャンパスにて「大学生運動部活動地域貢献プロジェクト」の第1回研修会が開催されました。会場には、スポーツ指導に関わりたいと志す大学生13名、高校生1名、地域の指導者14名が集まりました。
![]() 研修会の様子 |
このプロジェクトは、少子化に伴い児童生徒のスポーツ活動が縮小されたり、学校に配置される教員数が減少したりする中で、学校現場の負担を減らしつつ、児童生徒のためのスポーツ活動を地域全体で支えていこうとする試みです。長崎大学教育学部の小柳勝彦教授が中心となり長崎県スポーツ協会と長崎県教育委員会の協力のもと準備が進められてきました。
当日は、はじめに長崎県教育庁 体育保健課 参事の佐藤昇氏と長崎県西彼杵郡長与町の教育長 金﨑良一氏よりご挨拶があり、部活動の地域移行に向けての課題である指導者の質の向上、指導人材の確保の解決につなげてほしいと、本プロジェクトへの期待が寄せられました。
![]() 長崎県教育庁 体育保健課 参事の佐藤氏 |
![]() 長崎県西彼杵郡長与町の教育長 金﨑氏 |
研修では、スポーツ指導における暴力・暴言の禁止やハラスメントの防止、熱中症の予防や対応策、救命処置の手順やスポーツ外傷の応急処置など、現代の指導者に必要な知識が丁寧に解説されました。最後には理解度を確認するテストが行われ、講義中とはまた違った緊張感が漂うなか、参加者たちは真剣な表情でテストに取り組んでいました。しばらくして小柳教授から「全員が合格です。」と伝えられると、会場には安堵と喜びの声が広がりました。長崎県スポーツ協会が発行した修了証書は小柳教授から一人一人に手渡され、受講者は嬉しそうに受け取っていました。
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修了証を受け取った大学生の一人は、次のように語ってくれました。
「将来、体育の先生になりたいと思っていて、今回の研修が役立つと考え参加しました。熱中症対応について、“脇や首を冷やす”という従来の方法ではなく、“全身に水をかけ30分以内に体温を下げる”という方法が推奨されていると知り、驚きました。指導を行う立場になるためには知識をアップデートしていく必要があると実感しました。」
本研修会を企画した小柳教授は、今の時代の指導者像についてこう語ります。
「今年4月に奈良市で、中学生が意識不明の重体になった落雷事故がありました。今、指導者は『対応策を知りませんでした』ではすまされない時代がきています。だからこそ、正しい知識と子どもに寄り添う姿勢を持った指導者が必要とされているのです。例えば、今回の研修では、過去の暴力や暴言を伴う指導事例を紹介することで、現在、スポーツ指導におけるハラスメントの防止が重要視されている理由を学んでもらいました。なぜそれがハラスメントにあたるのか、自分の言葉で説明できるような指導者になってほしいですね。」
本研修は年に5〜6回の開催が予定されており、希望する自治体や学校への出張研修も検討されています。