2025年07月04日
2025年6月27日(金)、情報データ科学部の金谷一朗教授と瀬戸崎典夫准教授の研究室は、日蘭平和交流シンポジウムを開催しました。これは原爆投下から80年という節目を契機に、長崎とオランダの大学生がこれからの平和活動について語り合い、交流を深めることを目的として、Peace2Peaceプロジェクト主催、両研究室共催で開催されたものです。会場は長崎スタジアムシティの長崎大学テクノロジーイノベーションキャンパス(NUTIC)とオランダ・アムステルダムの日本文化センターをオンラインでつなぎ、一般参加者を含む約40名が参加しました。
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アムステルダム・日本文化センターでは出張中の金谷教授、NUTICでは瀬戸崎准教授が司会進行を務めました。最初に金谷教授が長崎とオランダの歴史的なつながりや、アートとデザインの役割について紹介。次にVase to Prayプロジェクト代表の毎熊那々恵氏より、アート作品「祈りの花瓶」の紹介がありました。これは、長崎に投下された原爆の熱風によって変形した瓶を、3Dプリンターによるレプリカを使って波佐見焼で精密に再現したものです。日本文化センターでは、6月26日~7月5日までの期間でこの作品の展示会が行われています。毎熊氏は「被爆者の体験を直接聞く機会が減ってきている中、この作品を手に取っていただくことで、若い世代や世界の方々に原爆や戦争、そして平和について身近に感じていただくきっかけとなれば」と語りました。
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その後、「平和のためにアートができること」のテーマでディスカッションが行われました。参加者からは「言葉でのコミュニケーションは誤解が生じることがあるけれど、アートは言葉や文化の壁を越える力を持っている。」「イノベーションは必要であるが、それは常に戦争に使われる可能性があり、実際に自分が参加したイベントでも関連産業の人が多く来ていた。アーティストはそのような経済圏から切り離されている存在であり、だからこそ重要な役割を果たすのでは。」などの意見が寄せられました。金谷准教授からは「テクノロジーは私たちの暮らしを支える一方で、戦争にも使われている。軍事と民間を完全に切り分けることはできないからこそ、リベラルアーツを学び、テクノロジーの活用方法を考えていく必要がある」とリベラルアーツの意義を語りました。
人の心に問いを投げかけ、対話のきっかけを生み出すアート。平和のためにアートが果たす役割、そして自分自身ができることを、参加者それぞれが見つめ直す機会となりました。
![]() アートの役割について活発な意見が交わされた |