2025年09月08日
長崎大学は、ケニアのナイロビにあるケニヤッタ国立病院を拠点に、肺がん診断の鍵となる超音波気管支鏡(EBUS)の導入と専門人材の育成を開始しました。本プロジェクトは令和7年度「医療技術等国際展開推進事業」に採択され、ケニア国内の気管支鏡診療レベルを引き上げ、医療水準の改善に貢献します。
ケニアではこれまで、肺癌診断に必要な気管支鏡診療体制が不十分であり、診断・治療の遅れが課題でした。本プロジェクトでは、長崎大学病院での集中研修とナイロビでの実技研修を組み合わせ、医師・看護師・臨床工学士の育成を進めます。さらに、オリンパス株式会社による技術協力や、現地医療教育企業AA Health Dynamics社の参画により、ケニア人専門家が自立的に研修を実施できる仕組みを整備します。
本事業の目標は、ケニアの3次医療機関であるケニヤッタ国立病院での超音波気管支鏡技術の定着と教育体制の確立により、肺癌診断と治療の水準を向上させることです。将来的には同病院が国内の他病院へ研修を展開し、ケニア全体の診断力強化、さらには東アフリカ地域への波及効果が期待されます。
9月12日(金)には、ケニアからの研修員が永安武長7崎大学長を表敬訪問し、今後の協力体制について話し合います。本プロジェクトは、2024年7月に永安学長がケニヤッタ国立病院を視察した際に明らかになった課題をきっかけに始まりました。
詳細は長崎大学熱帯医学研究所ケニアプロジェクト拠点のウェブサイトをご参照ください。
日本での集中研修スケジュール
9月12日(金) 永安武長崎大学長表敬訪問
9月16日(火)~9月26日(金) 長崎大学病院にて研修
9月29日(月)~10月1日(水) 亀田総合病院(千葉県)にて研修
10月3日(金) オリンパス株式会社(東京都)訪問
医療技術等国際展開推進事業とは
医療技術等国際展開推進事業は、厚生労働省の事業として国立健康危機管理研究機構(JIHS)が実施し、日本の医療技術や人材育成の知見を国際的に展開する取り組みです。
担当者
・長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 外科学講座腫瘍外科学分野 主任教授 松本 桂太郎
・長崎大学熱帯医学研究所ケニア拠点 准教授 齊藤 信夫
・長崎大学病院 総合感染症科・感染制御教育センター 准教授 田中 健之
・長崎大学病院 第二内科 呼吸器内科 講師 竹本 真之輔
・長崎大学病院 第二内科 呼吸器内科 助手 本田 徳鷹
・長崎大学病院 ME機器センター 技師長 林 誠
・長崎大学病院 光学診療部 看護師 石川 直子
・長崎大学病院 総合感染症科 助教 島田 翔
・長崎大学病院 総合感染症科 助手 増田 真吾