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医歯薬学総合研究科 離島・へき地医療学講座の主催で救急車のない離島において救急搬送シミュレーションを実施

 医歯薬学総合研究科 離島・へき地医療学講座は、五島市国民健康保険久賀診療所、五島市消防本部、五島市国保健康政策課と協働して、2025年11月13日、長崎県五島市久賀島において、島民の皆様が参画する島内の救急搬送、ならびに海上タクシーを用いた救急搬送のシミュレーションを行いました。
 久賀島には高度医療を提供できる医療機関がないため、年数回、福江島への海上救急搬送が行われています。また救急車がないため、島内での搬送は島民の方々も参画して行われているのが実情です。
そこで、島民が救急疾患を発症したという想定で、海上搬送に至る一連の流れを模擬的に確認し、課題や改善点の洗い出しを行うために、離島・へき地医療学講座の宮田潤助教が中心となり今回のシミュレーションを企画しました。

▼久賀島(右上)と福江島(左下)の地図
▼久賀島(右上)と福江島(左下)の地図

 シミュレーションでは、屋内で倒れている傷病者(ダミー人形)を近隣住民が発見し、久賀診療所に通報したケースを想定し、医師(離島・へき地医療学講座の野中講師)が傷病者の往診をした後、病院への受け入れ依頼や海上搬送などの手配、さらに応援にかけつけた方々とともに、担架による傷病者の移動を行いました。

▼医師が傷病者宅に往診し、搬送のため電話連絡
医師が傷病者宅に往診し、搬送のため電話連絡

▼傷病者を担架に移乗
傷病者を担架に移乗
▼傷病者を家から搬送
傷病者を家から搬送


▼傷病者を久賀診療所の車に搬入
傷病者を久賀診療所の車に搬入

 さらに、久賀島・田の浦港到着後、傷病者を対岸の福江島・奥浦港に搬送し、救急隊に引き継ぎました。

▼久賀島・田の浦港に到着
久賀島・田の浦港に到着
▼傷病者を海上タクシーに搬入
傷病者を海上タクシーに搬入
▼福江島・奥浦港に到着、救急隊に引き継ぎ
福江島・奥浦港に到着、救急隊に引き継ぎ

 また、シミュレーション終了後、久賀診療所で振り返りと意見交換会を行い、島内での搬送にかかわる島民に負担があることや、海上タクシーの担い手不足や撤退などの課題について話し合いました。
今回のシミュレーションの成果をもとに、離島におけるよりよい救急医療の在り方について、さらに研究を進めてまいります。


【謝辞】
 本シミュレーションのため、民家を使わせて頂いた島民の方、ならびに搬送にお立会い頂いた皆様、本企画にご協力頂きました五島市国民健康保険久賀診療所、五島市消防本部、五島市国保健康政策課、五島市久賀島出張所の皆様、またご多用の中お越し頂きました五島市議会、長崎県五島保健所、そして報道機関の皆様、誠にありがとうございました。
 このシミュレーションは、公益社団法人地域医療振興協会 第38回「地域保健医療に関する研究」の助成を受けて行われました。


医歯薬学総合研究科 離島・へき地医療学講座ウェブサイト
https://ritouken.com/