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  • 教育・研究

防災・放射線医学上級研修コースとF-REI国際シンポジウム“Collection and Dissemination of Data and Knowledge Related to Nuclear Disaster Resilience and Science”が開催され、ライデン大学教授らも参加しました

2025年10月28日(火)より5日間、福島県双葉郡川内村、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町にて、原爆後障害研究所災害復興科学分野の高村教授が中心となり、医歯薬学総合研究科修士課程;災害・被ばく医療科学共同専攻のフィールドワークである防災・放射線医学上級研修コースが実施されました。本コースでは、東日本大震災からの復興活動の取組や震災復興に係る専門家と修士学生との意見交換を実施しました。

また、11月1日(土)より2日間、福島県双葉郡楢葉町にて、長崎大学企画・運営の福島国際研究教育機構(F-REI)国際シンポジウムが開催されました。本シンポジウムでは、「原子力災害に関するデータや知見の集積・発信」分野に関係する国内外の大学・研究機関に加え、原子力災害医療科学分野に関わるICRP、IAEAといった国際機関・国際委員会の関係者が集結し、F-REIとの連携等について協議しました。

上記の研修およびシンポジウムには、ライデン大学の研究者も参加しました。今回の招聘は、本年5月に、本学の学長をはじめとした医学部等の教職員が、ライデン大学メディカルセンターにて研究交流討議した際、本学がJ-PEAKS「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」に採択されていることを評価いただいたことがきっかけです。その事業の一環で、外国人研究者・留学生の交流が出来ないか討議されました。また、本学が爆心地に近い位置にあり、被ばくにより甚大な被害を受けていたことから被ばく研究をする研究所があることにも高い関心を示されました。このような経緯から、原爆後障害研究所の高村教授が中心となり活動している福島プロジェクトに係る研修等への参加を打診しました。

これを受け、ライデン大学メディカルセンター放射線医学から、ファイス・ファン・ルーウェン(Fijs van Leeuwen)教授およびマティアス・N・ファン・オステロム(Matthias van Oosterom)博士を招聘し、また、ライデン大学高等コンピュータ科学研究所修士課程のリアム・マシュー・ファン・ドリューメルMr. Liam Matthew van Dreumelさんにも研修に参加いただきました。

ファン・ルーウェン教授は、核廃棄物浄化(博士号取得)のバックグラウンドを持ち、放射線安全管理責任者を務めた経験があり、浜松ホトニクス(放射性検出のノウハウを有する企業)と協業した実績があります。また医療現場で日常的に放射線を扱っています。また、ファン・オステロム博士に関しては、ファン・ルーウェン教授のチームで扱うロボット手術などの複雑な動的環境下における放射性シグナルの正確な位置特定を可能にする携帯型検出器の開発を専門としています。

本セミナー期間中は、JAEA(日本原子力研究開発機構)の講義があり、ルーウェン教授およびファン・オステロム博士からは、お二人の研究内容とJAEAの研究内容に重なる所があり、「JAEAと私たちの研究室でお互いの強みを生かし、福島に貢献する共同研究ができないか」というJAEAへの共同研究の提案がありました。セミナー終了後も、やり取りが続いており、今後の研究交流の発展が期待されます。

リアムさんは、この福島研修で、ICTの導入による公共政策やサービスの改善に焦点を当て、そこで得た知識を修士論文に生かしたいとのことです。 日本が深刻な災害状況にどのように対処してきたか、また、日本国民がどのように考えてきたかを学ぶことは、貴重な経験になり、「忘れられない経験となり、福島のことをさらに深く知りたいと思った。福島も、そして長崎もまた訪れたい。」という感想をいただきました。

左から
ファン・ルーウェン教授、高村教授、ファン・オステロム博士
東日本大震災・原子力災害伝承館にて

右から リアムさん、ファン・オステロム博士、高村教授 左から リアムさん、折田准教授、高橋助教、川内村遠藤村長
11/1(土)午前開催セミナーの様子