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  • 教育・研究

カンボジア産淡水フグ研究シンポジウム開催報告

2025年11月13日(木)の午後、カンボジア工科大学(Institute of Technology of Cambodia)において、長崎大学とクラチエ大学(University of Kratie)の共同研究による国際シンポジウム「Current and Future Perspectives on Freshwater Pufferfish Research in Cambodia」を開催しました。

このシンポジウムは、日本学術振興会・国際共同研究加速基金(国際共同強化(B))の採択課題「カンボジア・メコン川流域における安全・安心な淡水フグ食の創造にむけた超学研究」(20KK0142、研究代表者・水産学部 和田実 教授)として、5年間にわたり進めてきた研究成果を広く共有することを目的としたものです。また、長崎大学の卒業生でもあるクラチエ大学Ngy Laymithuna 学長との共同開催事業であることから、本学の「長崎大学グローバルアルムナイネットワーク(NUGAN)」の形成・発展を目指す「同窓生等連携による国際共同研究支援事業」による支援も受けて開催しました。

メコン川流域の淡水フグによる食中毒は、流域住民の健康に深刻な影響を与えており、本学が取り組むグローバルヘルス、グローバルリスク、およびグローバルエコロジーのすべての要素を含む課題と言えます。本シンポジウムでは、淡水フグ毒性の変化や毒の獲得メカニズム、摂食習慣の社会経済学的背景に関する知見を紹介するとともに、安全・安心な食文化の創造に向けた方策について具体的な議論を喚起することを目指しました。

シンポジウムの冒頭、両国の国歌斉唱につづいて、本学 永安武 学長のビデオメッセージを放映しました。その後、植野篤志 在カンボジア日本国大使、Dr. Hong Kim Cheang カンボジア教育省次官による開会の挨拶を頂戴しました。


本学からは、水産学部の和田実 教授、荒川修 教授、高谷智裕 教授、元環境科学部の井口恵一朗 教授、ならびに経済学部の宇都宮譲 准教授に加え、大阪大学人間科学部の太田貴大 准教授、海遊館(株)・ニフレル事業部の土井啓行 博士が口頭発表を行いました。本学の卒業生でもあるクラチエ大学Ngy Laymithuna 学長が閉会の挨拶を行い、シンポジウム閉会後の懇親会では、国際フグ協会 古川幸弘会長による日本産トラフグの試食会も行われ、日本のフグ食の安全性と食文化の価値を紹介しました。


今回のシンポジウムを通じて、淡水フグの毒性制御や食文化形成に関する多角的な議論が行われ、カンボジア側の関係機関との連携強化に向けた具体的な方向性が確認されました。今後は、現地でのフグ食リスク低減策の実装や、安全・安心で持続可能な新たなフグ食文化の創造にむけた研究活動のさらなる促進が期待されます。