2026年03月13日
廃棄物の運搬・中間処理・リサイクル・最終処分といった資源循環事業を担う株式会社中央環境は、株式会社商工組合中央金庫(以下「商工中金」)長崎支店の伴走支援を受けながらGX(グリーントランスフォーメーション:脱炭素と経済成長の両立)の推進に取り組んでいます。こうした同社の取り組みに対し、企業価値のさらなる向上を図るための提案を、本学経済学部・地域経済論ゼミ(指導教員:山口純哉准教授)の学生が行いました。
現在、長崎県下の中小企業では2社しか取得していない国際認証制度である中小企業版SBT(Science Based Target:目標値を定めて温室効果ガスを削減)の取得など、GXに取り組む中央環境を、2025年4月に完全民営化した商工中金が持続的な経営や企業価値の向上という観点から支援しています(注)。
事業所の見学 |
他方、必ずしも認証制度等ではカバーできない企業価値の向上に向けた取り組みがあります。特に、企業価値を構成する「市場価値」と信頼や共感など目に見えない「社会的価値」において後者を高める取り組みは、経営課題の中でも後回しにされがちです。しかし、社会的価値の追求が、結果として市場価値の実現につながる例が散見されるようになってきています。そこで、地域経済を学ぶ学生が、中央環境の事業所や商工中金による同社へのコンサルティングの現場を見学(2026年1月15日(木)・27日(火))するとともに、先行研究・事例も調査して社会的価値の増大に資する取り組みを提案しました。
理解、共感から共創へ |
学生たちの提案は、社会的価値を高める重要性にはじまり、そのプロセス、その中で実現すべき取り組みに至るものでした。特に、社会との関係性を構築する「理解」から「共感」へ、「共感」から「共創」へという段階のなかでも、資源循環産業として「理解」や「共感」を得る努力を惜しむべきではないことが強調されました。そして、具体的な取り組みとして、対象、内容や行程も示しながら、オープンプラントを提案しました。オープンプラントとは、搬入された廃棄物=資源の分別、中間処理、リサイクルや最終処分に至る工程について、従業員の家族、地域住民や広く社会に開き、現場で見て、聞いて、感じてもらうことで理解を促そうとする取り組みです。そして、その意義を、「自社への理解や共感の醸成」、「自社の業務プロセスの改善」と「従業員のやりがい」に整理して伝えました。
プレゼンテーションの様子 |
中央環境の上田社長からは「社会的な価値や過去の経験則に囚われないことの重要性を改めて認識することができた」などのコメントがありました。また、ゼミ生たちは、中央環境の今後を自分事として捉え、「提案内容を具現化する際には、自分たちも一緒に取り組みたい」ことを、中央環境の上田社長、粟田室長や商工中金長崎支店の丸岡支店長に伝えていました。
地域経済論ゼミでは、今後も学問的な知見を踏まえて、企業や地方自治体とも連携しながら、地域企業や地域社会における仕組みを構築できる人材の育成に努めます。
注)商工中金ニュースリリース「九州北部で廃棄物処理事業を手掛ける株式会社中央環境に対し、 サステナビリティ・リンク・ローン(GXファイナンス)でサポート」
https://www.shokochukin.co.jp/assets/pdf/nr_260310_01.pdf
