2026年03月24日
2026年1月31日(土)、出島メッセ長崎において、長崎大学市民アカデミー「水の未来を考えよう~水の恵みをいつまでも~」を開催しました。
本学では、市民の皆様を対象に2010年から「長崎大学リレー講座」を実施してきましたが、今年度より形式を一新し、ゲストと本学研究者が共に登壇する「長崎大学市民アカデミー」として再出発しました。
再出発後初となる今回は、私たちの暮らしに欠かせない「水」をテーマに開催。俳優・気象予報士の石原良純さんをゲストスピーカーにお迎えし、本学からは環境科学部の利部(かがぶ)慎准教授が登壇。439名の受講者とともに水の未来について考えました。
まず、石原さんが「安全な暮らしと水の未来を考える」と題して講演。気象予報士としての経験をもとに、日本の歴史における人と水の関わり、治水、気候変動など幅広い視点から空と水について語り、昨今の環境問題への危機感を伝えました。
続いて、ミニ講座に登壇した利部准教授は、「いま地球で降っている雨は、私たちの未来にどう届くのか?」と題し、地下水研究の最前線について解説しました。
講座では、私たちが日常的に飲んでいるミネラルウォーターの原材料が地下水であることを紹介し、地下水が私たちの暮らしと深く結びついていることを伝えました。さらに、含有するフロンガスなどを手がかりに地下水の“年齢”を測定できることを説明。地下水に“年齢”があるという視点は受講者にとって新鮮だったようで、うなずきながら聞き入る姿も見られました。島原湧水群では20~30年前の雨が地下を通って湧き出していることが分かっており、世界の地下水の平均年齢が約600年ということと比べ、日本の水が比較的 “若い”ことにも触れました。
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また、数百年から数千年かけて蓄積された「化石地下水」の過剰利用や、地下水と気候変動との関係についても取り上げました。目に見えない地下水が、地域の暮らしだけでなく地球規模の水循環や気候変動にも強い影響を与えていることが紹介されました。
お二人によるトークセッションでは、利部准教授が紹介した「島原の湧水は30年前の雨が地下を通って湧き出している。つまり、湧水には空の記憶が残っている」という言葉をきっかけに議論が展開。
石原さんは、近年は海水温の上昇によって水蒸気量が増え、雲の量や雨の降り方が変化していると指摘。かつて感じられた季節の空の表情が薄れつつあることを挙げ、空の変化を実感として語りました。
一方、利部准教授は、地下水には数十年単位の時間スケールがあることを改めて説明し、「いまの私たちの行動が、30年後の水環境につながっていく」と呼びかけました。
空を見続けてきた気象の視点と、地下水を研究する科学の視点が交差し、水の未来を長期的に考える必要性が共有されたトークセッションとなりました。
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最後に利部准教授は、「このあと見る空、そしていつも使っている水が、今日の市民アカデミーをきっかけに皆さんにとって少し特別なものに変わったのなら嬉しいです」と述べ、本講座を締めくくりました。
