2026年07月28日
長崎大学は7月15日、「Horizon Europeセミナー」を開催し、学内研究者を対象に、EU最大規模の研究・イノベーション資金プログラム「Horizon Europe」の概要や、日本の準加盟国化に伴う新たな研究機会について紹介し、理解を深めました。
セミナーの冒頭では、長崎大学熱帯医学研究所の金子聰所長が挨拶し、欧州との学術ネットワーク強化の重要性を強調しました。金子所長は、研究力向上と国際共同研究の推進において欧州との連携の重要性を述べ、本セミナーが将来的な研究提案の創出や国際連携の発展につながることへの期待を示しました。
続いて、駐日欧州連合代表部の科学技術アドバイザーであるトム・クチンスキ氏が講演を行い、Horizon Europeの制度や研究資金の仕組みについて説明しました。博士は、2021年から2027年にかけて約1,000億ユーロの予算を有する同プログラムが、基礎研究から社会実装まで幅広い研究開発分野を支援する世界最大級の研究助成制度であることを紹介しました。さらに、日本の準加盟国化により、日本の大学や研究機関が欧州の機関と同等の立場でプロジェクトに参加し、直接資金を受けられる意義を説明しました。
次に、長崎大学感染症研究出島特区の川上純特区長からは、長崎大学とオランダ・ライデン大学との長年にわたる関節リウマチに関する国際共同研究が紹介されました。両大学は約10年にわたり連携し、関節リウマチの発症予測や予防に関する研究を進めています。長崎大学が有する五島列島での地域コホート研究(Nagasaki Islands Study; NaIS)と、ライデン大学の豊富な研究資源を組み合わせることで、発症前段階の自己免疫異常の解明や個別化医療の実現を目指しています。近年はAIや機械学習を活用した精密医療研究にも取り組んでおり、今後はHorizon Europeを活用したさらなる研究展開が期待されています。
さらに、Horizon Europe日本ナショナル・コンタクト・ポイント(NCP)のマネジャーである小田扶実子氏が、日本の研究者向けに公募情報の探し方や国際コンソーシアムの形成方法、申請手続きなどについて実践的な説明を行い、参加者はEU Funding & Tenders PortalやNCPの支援制度を活用した研究提案の進め方を学びました。
質疑応答では、自己免疫疾患分野における研究テーマの探し方や、欧州研究機関との共同研究体制の構築方法について活発な意見交換が行われました。また、過去の採択プロジェクトを分析できるデータベースや研究者交流プログラムの活用など、具体的な方策についても説明がありました。
最後に医歯薬学総合研究科の池田裕明研究科長が閉会挨拶を行い、Horizon Europeは本学が掲げるグローバルヘルス、プラネタリーヘルス、および国際共同研究の推進という理念と高い親和性を有していると述べました。また、ライデン大学との研究連携を好例として、本学研究者のさらなる国際共同研究への挑戦に期待を寄せました。
本セミナーを通じて、Horizon Europeへの日本の準加盟が長崎大学研究者に新たな国際研究機会をもたらすことが共有されるとともに、欧州との戦略的な研究連携の重要性への理解を深める機会となりました。今後、本学ではHorizon Europeをはじめとする国際共同研究への参画を積極的に推進し、世界的な社会課題の解決に貢献していきます。
![]() クチンスキ氏による説明 |
![]() 川上特区長による説明 |
