1年生で「未来国会2020」優勝メンバーに。
情報データ科学の学びで地域問題に挑む。

情報データ科学部 学生 Interview

インフォメーションサイエンスコース2年
林田 昂己 さん

情報科学、データ科学には社会を変えるパワーがある

課題解決の糸口を発見できる技術

高校時代、夢が2つありました。1つはゲームプログラミングに関わる夢、2つ目は新技術・ARやVRの開発に携わる夢です。そんな漠然としたイメージで情報データ科学部に進学しましたが、入学後、情報データ科学部の学びには社会を変える力があると知り、更に面白いと思いました。

例えば、僕が興味深く感じた事例に、ある保育園へのAI検温機導入があります。子どもはじっとしているのが苦手ですが、ジャンケンをする間はその場に留まる。そのわずかな時間を活用するAI検温機が導入された事例です。情報科学、データ科学の技術は工夫次第で様々な課題を解決できる。そのために必要なのは「問題の本質を見極め、課題を設定し、解決できる力」。その力を身につけたいと思いました。

議員インターンシップで学内では見られない社会を知る

目の当たりにした長崎県の水産業の現状

昨年の夏休みに、議員インターンシップ※1に参加しました。受け入れて下さった中村たいすけ長崎県議会議員の計らいで、長崎市のフグの養殖場を訪問させていただきました。そこで学んだのは水産業における人材不足、フグの消費量減少などの問題です。難しい問題ですが、情報データ科学部で学ぶ技術があれば解決できる部分があると思いました。

例えば、水温や魚の数の管理、出荷作業などでAIやロボットを活用、パソコンで操作・確認できるシステムを導入することで人手がかかる作業は削減できると提案しました。また、フグの消費量減少については、SNSを活用して、実際にPR活動のお手伝いをしました。

※1 議員・首長インターンシップ
NPO法人ドットジェイピーが運営するインターンシッププログラム。大学生が長期休暇の2ヶ月間、議員と行動を共にする事により、議員の仕事や思い、政治と社会のつながりを知る体験学習プログラムです。

フグの養殖場への提案を「未来国会2020」で発表すると…

水産業へのIT技術の導入を提案しました

前述の提案を、一緒に中村議員のインターンシップに参加していた別の学生(長崎大学水産学部)2人とチームを組んで「海とIT で水産業を元気にする重点政策」としてまとめ、コンテスト「未来国会2020」※2で発表しました。地方大会を勝ち残り、全国大会の決勝プレゼンでも3人で全力を尽くして、なんと、優勝することができました!

「未来の日本の水産業を活性化させる」という熱意を伝えることができて良かったです。議員さんや漁業従事者の方々の協力や支えをいただき、仲間と十分に対策を練って挑めたことが良かったと感謝しています。

フグの養殖現場の皆さんと。

日本一に輝いた発表メンバー。

政策コンテスト「未来国会2020」でのオンライン発表の様子。

※2 未来国会2020政策コンテスト
NPO法人ドットジェイピー主催。「もしあなたが日本の総理大臣ならば」という設定のもと、30年後の日本のビジョン、10年後の政策、予算案を提案し、コンテスト形式で競い合う、国内最大の政策コンテストです。

実社会課題解決プロジェクトで地域の問題に触れる

学生が調査の進め方を考えます

課題解決の手法は専門科目「実社会課題解決プロジェクト※3」で学びました。僕のグループが調査したのは「人口流失が進む離島の新しい活用方法」です。先生方の指導を受けながら、学生が調査の進め方を考え、五島市へフィールドワークに行きました。

事前に調べた内容では、五島市は全国でもUIターンに成功している市だと分かっていました。その要因は行政の受け入れ態勢が整っていること、ネットインフラが整備されていて、都市部からの移住者が暮らしやすいことなどが功を奏していると考えられます。その内容を踏まえて現地調査に入りました。

※3 実社会課題解決プロジェクト
情報データ科学部が重視している実践的な力を養う科目。自治体や地元企業と連携し、実際の社会における課題を発見し、解決していくことを目指す。1~4年次まで受講できる。

机上でもパソコン上でも得られない現場ならではの経験値

フィールドワークで実感した経験不足

実際に五島市に行き、移住者、在住者、市役所それぞれにインタビューすると、それまで見えていなかった問題がありました。移住者側から見ると五島市は自然に恵まれ、新しい事業をスタートできる可能性に満ちた場所です。そして事業展開のために基盤整備が必要です。一方、在住者側は現状に満足していてその様な整備を求めていません。移住者が求める整備と在住者が求める整備は異なっていて、その点を見ると溝があり、行政は双方への対応が必要となるのです。

難しい問題です。仮に課題の解決法を設定しても、実際に動いたら別の課題が発生するかもしれません。動いてみないと分からないと思います。問題に直面して初めて、地域問題を解決させるために、僕らはまだまだ経験が足りないと感じました。

専門科目「実社会課題解決プロジェクト」では実際に五島市へ赴いた。インタビューに対応してくださった方とグループメンバーとで記念撮影。

1年次の専門科目で最も面白かった科目は「情報メディア論」。YouTube用の動画やWEBサイトの制作などを学んだ。写真は制作したシナリオベースコンテンツの提出課題。修学旅行で長崎を訪れた男子高校生が現地の女子高校生と出会い、主要観光地を巡るストーリー。今後はPRGも作りたい。

3年後の目標は“課題を解決できる人材”

1年次の実践経験は学びの指標になる

「未来国会2020」の提案でも「実社会課題解決プロジェクト」の発表でも、心残りな部分は色々ありますが、この一年間で得られた経験は僕にとって大きなものでした。“問題に向き合う力”を養えたからです。

正直、大学1年生で、これほど実践的な経験ができると思っていませんでした。長崎大学情報データ科学部は知識や技術だけでなく、社会に出てからの活用法も1年次から学べます。おかげで、大学4年間で何を身につけるべきかを見通せるようになったし、提出課題や授業にも目的を持って臨めます。社会に出た時に課題を解決できる人材になれるよう、残り3年で経験を積みたいと思います。

ーはやしだ こうきー
2001年長崎県長崎市生まれ。長崎県立長崎東高校出身。1年次の夏、議員インターンシップを通じて知り合った水産学部生2人とチームMASK(マスク)を結成。『フグに恋する5秒前~ぎょ、ぎょぎょう~』の題で「未来国会2020」政策コンテストに出場。全国1332名・507チームを制して、1位に輝いた。マルチメディアサークルに所属。