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悪性脳腫瘍のエピジェネティクス異常についての最新研究成果をまとめた総説論文が国際学術誌に掲載されました

医学部医学科(研究医枠)の小林希さんと医歯薬学総合研究科の村井清人講師(統合脳神経科学分野)によって、悪性脳腫瘍のエピジェネティクス異常についての最新研究成果をまとめた総説論文が、国際学術誌のEpigenomics誌に掲載されました。

Epigenetic dysregulation of high-grade gliomas: From heterogeneity to brain network modulation
(DOI: 10.1080/17501911.2025.2583895

【論文の概要】
膠芽腫(glioblastoma, IDH-wildtype)やびまん性正中膠腫(diffuse midline glioma, H3 K27-altered)に代表される高悪性度神経膠腫(high-grade glioma: HGG)は、成人および小児の極めて予後不良な脳腫瘍です。近年、DNAの塩基配列変化によらない遺伝子発現の制御・伝達システムである「エピジェネティクス」の異常が、HGGの生物学における基本的特徴として注目されています。これらの変化はHGGの分子分類に寄与するだけでなく、その悪性形質の機能的基盤にも関与しています。本総説では、HGGにおけるエピジェネティクス異常に関する最新の知見を整理し、DNAメチル化、ヒストン修飾、クロマチンリモデリング、ノンコーディングRNAなどの主要な制御機構と病態における意義に焦点を当てています。さらには、エピジェネティクスの不均一性が、脳内におけるニューロンとグリオーマ細胞の相互作用に与える影響についての我々の最新研究成果を概説しています。HGGの病態におけるエピジェネティクス異常の全体像を論じることで、今後の悪性脳腫瘍研究や治療開発に向けた基盤的枠組みとなることが期待されます。

【論文のページ】
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17501911.2025.2583895