HOME > Choho >Choho76号 My 研究室 Life:薬学部・寺田知邑さん

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DNAを人工的に作り 創薬から応用までやり遂げる核酸医薬

有機化学やバイオ生物系などさまざまな研究室がある中、寺田知邑さんが籍を置くのが機能性分子化学研究室。
山吉麻子教授と山本剛史准教授の共同研究室です。

3人

実験中の寺田さん

薬科学科で創薬の道に進もうと思ったのは、薬を通して社会に貢献できると考えたからです。家族は医療関係者で、目の前の患者さんを助ける臨床の重要性は理解しています。一方、良い薬を創れば多くの患者さんを救うことができる。そこに強く惹かれました。

三年次後期で研究室を選ぶ際、山本先生のお話を聞いて『やりたいのはこれだ!』とピンときました
一つ一つの動きが生き残りにどのように役立っているのか、飼育実験や野外観察などさまざまな手法を用いた研究を行っています。


――そもそも、機能性分子化学とは?    

山吉麻子教授に聞きました。

山吉麻子教授

「この研究室で扱っているのは核酸医薬、つまりDNAを化学修飾して人工核酸を作り、遺伝子そのものを狙った新しい薬を創るというものです。DNAは四つの分子でできており、その結合相手も決まっているので、病原遺伝子の配列さえ分かれば核酸医薬を創ることができます。
ただ、核酸医薬は体に入るとすぐに尿中排出されるため、その前に狙った臓器に送り届けるような仕組みを搭載した、新しい核酸医薬の開発を目指して研究しています。
私は生化学に詳しく、山本先生は有機合成に強い。二つのグループが独立しながらも、協力し補完し合いながら研究を進めています」。


山本剛史准教授に聞きました。


山本剛史准教授

「核酸を医薬品にするには、天然の素材をそのまま使うのは難しく、有機化学の知識を駆使して天然の核酸の弱点を補強します。言ってみれば、建物を造るのに土をそのまま使うのではなく、良質のコンクリートを使うイメージ。優れた素材を開発できれば治療できる疾患の幅も広がるため、世界中で求められているのです。私のグループでは素材の開発にとどまらず、核酸医薬の試作品を作成し、その有効性や安全性を疾患モデルを使って『自分たちの手で』評価します。モノづくりから生物学的評価まで一つの研究室でカバーすることはあまりないので、それがこの研究室の大きな特徴でしょう」。

臨床薬剤師を養成する薬学科(6年制)と創薬研究者を養成する薬科学科(4年制)で構成される薬学部。
薬科学科の学生の多くは大学院へ進みます。
学部3年後期には複数ある創薬系の研究室の中から1つを選び、そこで自分が取り組むテーマを定めます。
以降、卒業論文はもちろん、大学院進学後もそこでさまざまな研究に取り組んでいきます。
修士や博士を目指す学生にとって、研究室の選択と学びは研究者人生の方向性を決める大きな存在なのです。

Part2「小さくてもいいから世界で誰もやっていないテーマを探し出す」に続く