2023年09月01日
今年(2023年)は、シーボルトが来日してちょうど200年にあたります。これを記念し、長崎大学附属図書館経済学部分館では、「シーボルトゆかりの人物展」を10月1日まで開催しています。シーボルトは19世紀の長崎で医師・博物学者として活躍し、日本の文化を世界に広めるために尽力した人物です。
経済学部分館の宮脇英俊(大学職員)さんによると、企画したのは今から2年前で、2023年がシーボルトの来日200年になることに気が付き、武藤文庫※から資料を探し始めたそうです。武藤文庫のすごいところは、そこで、資料が見つかること!
人物展では、シーボルトという人物をより深く理解してもらうために、二人の息子アレクサンダーとハインリッヒ、孫娘のたか(いねの子)など、シーボルトの周りの人たちにもスポットライトを当てて、ここにしかない貴重資料など17点を展示しています。
※武藤文庫とは
武藤文庫は、長崎大学経済学部の前身・長崎高等商業学校の教授を長年務めた武藤長蔵博士が生涯をかけて収集された蔵書。和洋図書や雑誌・小冊子など約1万冊、地図・書画・陶器等の各種資料約200点からなり、その内容は経済学関係の古典や対外交渉史関係の資料を中心に広範囲な学問分野にわたります。武藤博士が亡くなられたあと、ご遺族から寄贈されました。
今回お話を伺った宮脇英俊さん(写真左) |
今回の展示では126年前に発行された『NIPPON』を実際に手に取ってページをめくることができます。本に触れてみると、手触りや質感、紙の香りなどから、126年前の時代を感じさせてくれます。このような貴重資料を手にとれるのは大変めずらしいことですが、これは実際に「見て触って感じてほしい」という図書館の皆さんの強い思いと、武藤文庫と長崎高等商業学校で計2冊、この『NIPPON』を保有していたからこそ、実現した企画だそうです。
シーボルトが出版した『NIPPON』を二人の息子アレクサンダーとハインリッヒが協力して再販した図書
今回の展示品の中で、宮脇さんのおすすめは、シーボルト『日本よりの公開状』。これは、シーボルトが日本の文化などについて、本国へ書き送ったものです。シーボルトが設立した長崎出島のオランダ印刷所で刊行された金属活字本で、世界でもほとんど残っていない珍しい資料となります。一文字ずつ、活字を並べインクを紙に押し付けることで文字を印字しています。
シーボルト『日本よりの公開状』 表紙には「DESIMA」の印字が! |
他にも、みなさん一度は見たことあるであろう、出島の全景が描かれている図。この『長崎出島之図』はなんと経済学部分館に所蔵されています!作者の川原慶賀は、シーボルトのお抱え絵師として、日本の植物や風景、肖像画などを数多くの作品を残しています。
川原慶賀伝『長崎出島之図』
展示会では来場者クイズが用意されており、全問正解するとスタッフ手作りの素敵なプレゼントがあります。また、同じ展示会場には、常設展として『長崎外国商館図』『マリア観音』『長崎箇所割大地図』など長崎ゆかりの貴重な史料もご覧いただけます。常設展では、スマートフォンを使った展示解説とクイズをお楽しみいただけます。クイズは、初級・中級・上級に分かれていて、自分のレベルに合ったクイズに挑戦しながら面白い豆知識を知ることができます。是非この展示会を機に、シーボルトの歴史・武藤文庫の偉大さを肌で感じてみませんか。
常設展 |
シーボルトに関連して、長崎大学では2つの講演会を開催します。展示会とともに、こちらも多くのみなさまのご参加をお待ちしております。
【講演テーマ】「ラッコ・ラッフルズ・シーボルト-19世紀日蘭関係の転換点-」
【講師】長崎大学多文化社会学部 木村直樹教授
【講演会日時】2023年9月14日(木)14:00~15:30
【会 場】長崎大学附属図書館経済学部分館1階ラーニング・コモンズ
※入場無料。申し込み不要
https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/event/event1510.html
【講演テーマ】「シーボルトが集めた地図」
【講師】オランダ・ライデン大学 学芸員 マルタイン・ストルムス氏
(講演は英語 日本語の同時通訳あり)
【講演会日時】2023年9月27日(水)16:30~17:30 (開場16:00)
【会 場】出島メッセ 101会議室 (長崎市尾上町4-1)
※入場無料。下記URLから申込みください。
https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/event/event1517.html