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環境科学部 3年生 菅崎 未来 さん
環境科学部のフィールドワーク

 高校時代は登山部に所属していた菅崎さん。折に触れ登った雲仙岳へ、環境科学部に進学してからは環境保全のために訪れるようになりました。「春はミヤマキリシマ、初夏はヤマボウシ、秋は木々の紅葉。雲仙岳はどの季節も美しくて魅了されます。しかし、実はミヤマキリシマを含むツツジ科植物の群落面積は100年前に比べて90%以上も減少しており、保全活動が求められています」。

 減少の理由のひとつは人間の生活の変化です。かつて雲仙岳周辺で放牧が盛んだった頃は、牛が雑木の実生を食むことでその成長を抑制していました。しかし放牧規模の縮小につれ、雑木の範囲が広がり、ミヤマキリシマに適した草原の環境が失われているのです。現在、雲仙岳の田代原地区では、NPO 法人奥雲仙の自然を守る会が中心となって、草刈りなどの保全活動を行っており、環境科学部の服部充准教授が環境教育や生態調査などで協力しています。菅崎さんも服部准教授が担当した「フィールドスクール」に参加したことがきっかけで、地域の人と一緒に保全活動を行うようになり、より同地への親しみを持つようになったと話します。

 「田代原地区でリンドウやカヤネズミの巣などの自然に出会うたびに感動しています。標高600mの高地にあることから独自の自然環境が形成されていて奥深さを感じますし、その一方で生態系の全貌が明らかになっていないと聞いて興味が沸き、これから挑む卒業研究のテーマにできないかと考えています」。雲仙岳の田代原地区での保全活動について、菅崎さんから提供された写真を元に紹介します。             



服部准教授の雲仙地域の生物多様性保全に関する研究・教育についての記事(2021年)は下記からご覧ください。

《環境科学部の魅力紹介》
研究への意欲を育むフィールドワーク

 長崎県は環境科学部にとって研究テーマの宝庫です。海や山などの自然が豊かなことはもちろん、個性的な離島が多数あること、国内外から観光客が訪れる観光立県としての一面、平地が少なく斜面に住宅が密集している地域性など、全国的に見てもユニークな特徴が多く、環境科学部では様々なテーマの研究が進められています。

 大学では多くの学部が最高学年で卒業研究(論文)に取り組みます。研究してその結果を論文にまとめる過程で、専門性が高まり、論理的思考力やプレゼンテーション力など多くの力が身に付きます。その中でも大きな成果の一つとして「自ら考え、答えを導き出す力」が養われます。社会人になった後、すべての職業で求められる基本的な能力であり、未来を生き抜く最大の武器になる力です。大学での学びの集大成である卒業研究が、人間としての成長に大きく貢献することが分かるでしょう。

 では、卒業研究のテーマはどうやって見つけるのでしょうか。環境科学部では学生がそれぞれに興味あるテーマに出会えるよう、1・2年生で「環境フィールド演習Ⅰ・Ⅱ」「フィールドスクール(※)」の実習科目を設けて、できるだけ多く現場に立つ機会を提供しています。「環境フィールド演習Ⅰ・Ⅱ」では、資源やエネルギー関連施設、まちづくり、動物の行動・形態観察など、環境学の基礎となるテーマで県内各所を巡ります。「フィールドスクール」では島原半島にスポットを当て、再生エネルギーや水資源などの課題において実際に調査を経験します。いずれも、環境科学部の教員がそれぞれの専門分野に沿ってフィールドワークを行い、幅広い環境科学のアウトラインを説明した上で、研究の面白さを伝え、観察して変化を察知する感覚、課題を見出す思考法などを指導します。皆さんが興味を持つ社会問題や自然環境、取り組みたい実験がきっと見つかり、菅崎さんのように積極的に卒業研究に挑めるはずです。

(※)「フィールドスクール」は「レジリエントな地域社会創生リーダー育成プログラム」の一環で、現地での活動を通して地域課題に取り組む実習科目です。詳細は下記ページのAERRC年報をご覧ください。