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サイクロトロンを必要としないPET用分子イメージング薬剤製造システムの構築

大学院医歯薬学総合研究科衛生化学研究室の中山教授らの研究グループは、現在、サイクロトロンを必要としないPET用分子イメージング薬剤製造システムの構築に取り組んでいる。

病態を画像化し診断する画像診断の分野において、PETと呼ばれる断層撮像装置の普及が著しいが、PET用放射性薬品には短半減期核種を用いるため、病院内にサイクロトロンを設置するための大型施設が必要となる。この欠点を克服する方法として、サイクロトロンを用いることなく、次世代のPET用核種として期待される68Gaを製造・供給するための68Ge-68Gaジェネレータの開発が望まれている。このジェネレータには、68Geに対する強い結合性と68Gaに対しては弱い結合性を示す吸着分離剤が不可欠である。そこで、中山教授らの研究グループは、有機系イオン交換樹脂であるN-メチルグルカミン型樹脂に着目し、その目的に合致する吸着剤となることを実証した。すでに、実験室レベルでの68Ge-68Gaジェネレータ作成には成功しているが、さらに、臨床現場での実用化を目標としてプロジェクトを立ち上げ、高分子構造と高分子表面の化学修飾の両面から、改良が進められている。なお、このプロジェクトは、JSTの産学イノベーション加速事業【先端計測分析技術・機器開発】の「要素技術プログラム」に採択1)されている。

中山教授は、上記の「In vivo バイオイメージング薬剤製造工程へのキレート性イオン交換樹脂の適用」分野に関する研究ばかりでなく、「イオン交換樹脂の高機能化と環境分析への応用」、「高性能イオン交換クロマトグラフィー(IEHPLC)のためのカラム充填剤の合成と生体関連物質の分析」、「イオン交換樹脂表面での脂質二分子膜の構築」などの研究にも携わっており、これら薬学の多様な分野におけるイオン交換体を応用した研究実績に対して、日本イオン交換学会学術賞が授与された。

1)http://www.jst.go.jp/pr/info/info660/shiryo1.html