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フィードバックを有する電離波動系カオスの外力に対する応答 (教育学部の研究者らによるプラズマ物理学に関する新知見)

固体・液体・気体に続く物質の第4の状態である「プラズマ」は,興味深い性質を示すとともに,産業や医療などへの応用面からも,その物理学的な性質を理解するための基礎研究が求められています。

長崎大学教育学部・理科専攻の 大本 将弘 さんと 福山 隆雄 准教授は,プラズマ波動を対象とした非線形力学系に関する研究に取り組みました。
その結果,フィードバック機構を有する電離波動系のカオスにおいては,それを有しない場合と比べて,周期的な電場外力の印加に対する系の応答が鋭敏になることを,プラズマ実験とカオス解析を通して明らかにしました。

 

図:印加外力の強度に対するSN比(左図)と最大リアプノフ指数(右図)の値。
  フィードバックを有する系(グラフ中の赤プロット)の方が,有しない系(グラフ中の青プロッ

  ト)と比べて,より小さな外力強度で周期化する(SN比が上昇,最大リアプノフ指数が0に漸近)

  ことが分かる。

本研究で得られた成果は,インパクトファクター付の物理学専門誌に掲載され,今後,乱れた状態にあるプラズマの制御研究に寄与することが期待されます。
(本研究は,科研費JP20K03895の助成を受けて実施されました)

◆論文タイトル◆
Response of laboratory plasma influenced by a feedback loop to external force

◆著者名◆
福山 隆雄:物理学教室 准教授(連絡先 fukuyama-takao*nagasaki-u.ac.jp)*を@に変換して下さい      
大本 将弘:大阪市公立中学校理科教諭(2021年3月 教育学部 理科専攻卒業)

◆掲載誌◆
Progress of Theoretical and Experimental Physics
(Oxford Univ. Press on behalf of JPS)
https://doi.org/10.1093/ptep/ptab076