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台風影響下のジンベエザメの行動についての論文が出版されました

長崎大学海洋未来イノベーション機構、いおワールドかごしま水族館、北海道大学の研究グループによる台風の影響下におけるジンベエザメの行動についての短報がJournal of Fish Biology誌に掲載されました。

 

台風は海の表層を大きく撹乱する大規模な気象現象です。サンゴ礁に住むサメ類は熱帯低気圧が接近すると深場へと避難することが知られています。外洋に生息する魚でも台風通過前後で行動が変化することが報告されています。2019年9月に、かごしま水族館で飼育されていたジンベエザメを海へ帰す際に、放流後の行動を調べる目的でデータロガーを装着しました。データロガーにより7日間のジンベエザメの深度変化が記録できました。その間、ちょうど台風17号が九州西方を通過したため、台風の影響下におけるジンベエザメの行動を記録することができました。放流したジンベエザメは、台風接近前は主に海面付近や表層を泳いでいましたが、台風が接近すると深度90mまで潜り、台風が通過するまで深いところに留まっていました。ジンベエザメに装着された深度計には台風のうねりによる周期の長い波が記録されており、そのような深度でも台風の影響が及ぶことがわかりました。これまで、長期間の魚の行動データを解析する際には現地の天候などは考慮されてきませんでした。台風のような大規模気象イベントが魚の行動に与える影響を知ることで、そのようなデータを解析する際に、魚の行動が変化した要因を知る手がかりの一つになると考えられます。

Nakamura I, Tsuchida H, Tone K, Sasaki A, Kawabe R (2021)
Behavioural response of a whale shark during the passage of a typhoon.
Journal of Fish Biology, DOI: 10.1111/jfb.14892