亜硫酸イオンの還元活性化を金属錯体上で達成！

　長崎大学大学院工学研究科の有川康弘 准教授、グリーンシステム創成科学専攻の４年 山田基貴さんらの研究グループは、遷移金属錯体を用いることで、亜硫酸イオンを段階的に還元し、最終的に硫化水素を発生させることに成功しました。
　生命活動に必須な硫黄元素は、地球上ではいろいろな形態になっており、それらが循環しています（硫黄循環サイクル）。そのサイクルの中で、亜硫酸イオンから硫化水素への還元変換が、生物学的硫黄循環サイクルにおいて、極めて重要となっています。最近、亜硫酸イオンの還元活性化について大きく注目されています。有川准教授らは、遷移金属錯体を用いることで、亜硫酸イオンの還元変換の各ステップを詳細に研究することで、その還元変換を人工的に達成しました。

本研究成果は、化学分野においてトップジャーナルである「Journal of the American Chemical Society」に掲載され、またSupplementary Journal Coverに選出されました。

■論文情報 
タイトル：Stepwise Sulfite Reduction on a Dinuclear Ruthenium Complex Leading to Hydrogen Sulfide
著      者：Yasuhiro Arikawa,* Motoki Yamada, Nobuko Takemoto, Takuya Nagaoka, Yusuke Tsujita, Taiji Nakamura, Yusuke Tsuruta, Shinnosuke Horiuchi, Eri Sakuda, Kazunari Yoshizawa, and Keisuke Umakoshi
掲 載 誌：Journal of the American Chemical Society, 15, 21729 (2023)
U R L：https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.3c07248?ref=pdf

本研究は、日本学術振興会(JSPS)「基盤研究B：金属錯体反応場におけるオキソアニオンの多電子還元反応の開発 (JP20H02757)」からの研究費のご支援を得て実施したものです。

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