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東京電力福島第一原子力発電所から生じた処理水の海洋放出に対する周辺住民の認識や懸念について解析した論文が国際学術誌に掲載されました

 原爆後障害医療研究所の高村昇教授らによって、福島第一原子力発電所から生じる処理水の海洋放出に対する周辺住民の認識や懸念について解析した研究論文が学術誌“BMC Public Health”に掲載されました。

 2023年8月24日、東京電力福島第一原子力発電所(福島第一原発)事故によって生じ、発電所敷地内に保管されている100万トン以上の処理水(トリチウム水)の福島県沖への放出が開始されましたが、放出前から処理水を海洋に放出することによる国内外での風評影響が懸念されてきました。
 本研究では、福島第一原発の周辺自治体住民に処理水の海洋放出の是非について住民に回答を求め、約40%の住民が賛成、29%が反対、31%が分からないと回答し、住民の意見が分かれていることを示しました。さらに統計解析の結果、性別、就業状況や放射線被ばくによる健康影響への懸念が処理水に対する不安の有無に関連することを示しました。
 この結果、風評影響への対応を進めるためにも専門家と住民とのリスクコミュニケーションを通じて、処理水に対する不安の払拭、科学的根拠に基づいた継続的な情報の発信を促進が重要であることが示唆されました。

 長崎大学は、現在福島第一原発周辺自治体にサテライトオフィスを設置していますが、今後も地域や住民のニーズに対応した福島の復興支援を継続していく予定です。

▶論文は、下記のURLからダウンロードできます。
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-023-17349-1