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長崎大学医歯薬学総合研究科の教授グループが、インターフェロン系因子による消化酵素の発現調節を世界で初めて解明したことについて

長崎大学医歯薬学総合研究科の松山俊文教授、林日出喜准教授らのグループは、インターフェロンの作用を伝えるインターフェロン系転写因子である「IRF2」が、膵液に含まれる消化酵素の一つ「トリプシン」の発現を直接制御していることを、マウスを使った実験で突き止めた。松山教授らの研究によると、IRF2がないマウスでは、トリプシンの不活性型前駆体たんぱくの一つである「トリプシノーゲン5」が、通常のマウスの1000倍以上に増加することが明らかになったという。インターフェロン系の因子が消化酵素の発現調整を行っていることを示したのは世界で初めて。

 同様の現象が人間の膵臓でも起こっているかはまだ明らかになっていないが、今後研究が進めば、50代に発症が多く、重症化すると生命に関わることの多い急性膵炎の効果的な治療方法の確立や膵炎と膵がんとの因果関係の解明に結びつく可能性もある。また、トリプシンによって感染性が増加することが知られているインフルエンザウイルスの新たな感染メカニズムが明らかになる可能性もある。

 なお本研究の成果は、『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に掲載された。

・「PNAS(米国科学アカデミー紀要)電子版10.31」(PDF/1.7MB)