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早期関節リウマチの新たな血液検査法開発に向けた疾患特異的な免疫複合体の発見

  長崎大学医歯薬学総合研究科の大山 要准教授,川上 純教授,黒田直敬教授らの研究グループは関節リウマチ患者の中でも,臨床症状がほとんど現れておらず,血液検査での診断も困難とされる早期リウマチ患者の血清中に特異的な免疫複合体が存在することを欧州リウマチ学会誌に発表した。 

  関節リウマチは多関節に滑膜の炎症と増殖を生じる慢性疾患で,日本国内の患者数は70-100万人とされ,毎年新たに1万5千人が発病している。関節リウマチは早期発見・早期治療により治療効果が著しく高くなるため,早期発見できる診断方法が臨床上最も重要視されている。しかし,従来の血液検査では早期リウマチ患者のうち約2-5割が陰性となるため,臨床症状のみから診断せざるを得ないケースが多い。 

  研究グループは独自に開発した免疫複合体の網羅的解析法(イムノコンプレキソーム解析法)を早期リウマチ患者とリウマチ以外の自己免疫疾患患者に適用し,血清中の免疫複合体を網羅的に解析した結果,早期リウマチ患者にのみ存在する免疫複合体を特定した。さらに,従来の検査法では陰性となっていた早期リウマチ患者の50% に,この免疫複合体が認められた。今回の研究は,早期リウマチ患者の新たな血液検査法の開発につながる成果であり,現在検査用キットの開発に取り組んでいる。

 

本研究の成果は「Annals of the Rheumatoid Diseases」オンライン速報版(電子版)に掲載された。

また,大山 要准教授は「早期関節リウマチ患者のイムノコンプレキソーム解析」の研究により,平成24年度日本臨床化学会奨励賞を受賞した。
(詳しくは,ニュース&トピックス「医歯薬学総合研究科の大山 要准教授が平成24年度日本臨床化学会奨励賞を受賞」に掲載)