2026年03月16日
この度、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科先進予防医学共同専攻/長崎大学病院リウマチ・膠原病内科学の川上純教授のグループが提案した課題「抗ヒト活性型IL-18ヒト化モノクローナル抗体による進行性間質性肺疾患(進行性肺線維症)の治療薬開発」が国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「大学発新産業創出基金事業 ディープ・スタートアップ国際展開プログラム(D-Global)」第4回公募において、九州で初めて新規採択課題として選定されました。
D-Globalプログラムは、JSTが展開する大学発の研究シーズの起業前支援制度である大学発新産業創出基金事業、すなわち『早暁プログラム』、『スタートアップ・エコシステム共創プログラム』そして『ディープ・スタートアップ国際展開プログラム』のうち、最上位クラスの支援制度であり、大学等で生まれた先端技術シーズを核に、世界市場を視野に入れたディープテック・スタートアップの創出を目的とするものです。最長3年間で原則3億円(上限5億円)の研究開発費を受けられる本プログラムへの採択は、研究成果の社会実装に向けた大きな前進を意味します。本学としても非常に意義の大きい成果となります。
川上純教授はこれまで、難治性の自己免疫性疾患・炎症性疾患の臨床と基礎を横断した研究を一貫して進めてきました。その中でも『進行性間質性肺疾患(進行性肺線維症)』は、年余にわたり進行し、生命予後が悪く、治療選択肢も限られることから、新規治療薬の開発が強く求められている領域です(図1)。
![]() 図1 進行性間質性肺疾患と既存治療薬について |
同研究グループは、2024年より国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「難治性疾患実用化事業」において、進行性肺線維症のキー分子と考えられる炎症性サイトカイン「活性型IL-18」を特異的に認識し、中和する「抗活性型IL-18ヒト化モノクローナル抗体」の前臨床試験を推進してきました(図2)。その結果、本抗体がマウス(ハツカネズミ)モデルおよびサル(カニクイザル)モデルにおいて、肺線維化の進行を抑制する効果を示すことを確認し、ヒトへの応用に向けた確かな科学的基盤が構築されました(図3)。そこで同研究グループは、国の指定難病「皮膚筋炎/多発性筋炎」に伴う『進行性間質性肺疾患(進行性肺線維症)』を第一の対象疾患として、「抗活性型IL-18ヒト化モノクローナル抗体」の臨床応用に向けての研究を進めています。今回の採択により、本プロジェクトでは前臨床段階で得られた知見を踏まえ、ヒトへの応用に不可欠な製剤化開発に本格的に着手します。
図2 抗活性型IL-18ヒト化モノクローナル抗体について |
図3 マウス(ハツカネズミ)モデルおよびサル(カニクイザル)モデルを用いた前臨床試験の結果 |
事業化推進機関について:
本プロジェクトは、代表事業化推進機関である三菱UFJキャピタル株式会社ならびに共同事業化推進機関である株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズと連携し、研究成果を基盤とした新たなスタートアップ創出を目指します。D-Globalの支援により、安全性研究と並行した製剤開発を迅速に進める体制が整うことで、臨床応用に向けた開発スピードは大幅に向上することが期待されます。
参考)JSTプレスリリース:
大学発新産業創出基金事業ディープテック・スタートアップ国際展開プログラム(D-Global)第4回公募 新規採択課題の決定について
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1831/pdf/info1831.pdf
