2026年04月02日
2026年4月1日付けで、パレスチナ・アハリヤ大学(Palestine Ahliya University: PAU)が運営している査読付き機関誌「Journal of Palestine Ahliya University for Research and Studies」(ISSN: 2959-4839)に、総合生産科学研究科教育研究支援部(https://ntech.ist.nagasaki-u.ac.jp/)の野口大介技術職員が調査した内容が掲載されました。PAUはヨルダン川西岸地区にある都市ベツレヘムに所在する2007年に設立された私立大学です。
今回の調査では、包接化合物について発展的に学ぶためのSTEM教材開発試行の一環として批判的文献レビューが行われ、フェロセンを包接したシクロデキストリンの既知の結晶構造データが整理されました。フェロセンは金属-炭素結合を有する代表的な有機金属錯体の一つであり、シクロデキストリンは複数のグルコース分子がグリコシド結合を介して環状構造を形成し、内部が疎水性、外部が親水性を示す糖の一種です。結果として、これまで長年にわたって総説されてきた特定の包含比率による分子配向モデルは、結晶学的データの包括的な調査によって、部分的には支持されないことが明らかとなりました。一方で、フェロセンおよびその酸化体であるフェロセニウム(Fc/Fc⁺)とα-シクロデキストリンの包接化合物の結晶構造データに基づいた代替教材が提案され、ホスト-ゲスト化学における探究型学習の精度を高める候補としての可能性が示唆されました。この研究の独自性は、当該分野で広く引用されてきた包接モデルの結晶学的根拠を検証した初の体系的批判的レビューである点にあります。
【論文情報 】
タイトル:
Is Introducing Crystal Structures of Ferrocene in Cyclodextrin into Learning Materials for STEM Education Possible?
著者:
野口 大介(長崎大学大学院総合生産科学研究科教育研究支援部 技術職員)
掲載誌:
Journal of Palestine Ahliya University for Research and Studies, Vol. 5, No. 1, pp. 187–193 (2026).
URL:https://journal.paluniv.edu.ps/index.php/journal/article/view/238
DOI:10.59994/pau.2026.1.187
