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水産・環境科学総合研究科 海棲哺乳類研究室所属の山本知里さんらの論文がScientific Reportsに掲載されました。

   ハンドウイルカが喧嘩の後に仲直りをしたり、喧嘩をした個体を周りの個体がなだめたり、守ったりしていることを、大学院水産・環境科学総合研究科 海棲哺乳類(天野雅男教授)研究室に所属する山本知里さん(博士後期課程3年)らが発表しました。論文は9月22日付でScientific Reportsに掲載されました。

   山本さんらが飼育下のハンドウイルカを観察したところ、喧嘩が起こった後に、喧嘩相手のイルカと友好的な行動(胸びれで相手を触るまたは擦る行動や並んで一緒に泳ぐ行動)を行うことが見られました。また、喧嘩に関わっていないイルカから喧嘩をしたイルカに対しても、同様の友好的な行動がたびたび行われていました。このような友好的な行動が起こると、イルカ達がその後再び喧嘩をする回数が減ることがわかりました。ハンドウイルカは友好的な行動によって喧嘩相手と仲直りをしたり、周りの個体が喧嘩した個体をなだめたり、攻撃から守ったりしているようです。このような友好的な行動の役割は、霊長類など一部の社会的な動物では知られるようになってきましたが、ハンドウイルカも個体間の関係を維持するためや仲裁をするために、さまざまな形で友好的な行動を行っているものと考えられます。

   イルカの観察は須磨海浜水族園、下関市立しものせき水族館、かごしま水族館で行われました。また、この研究は東海大学、帝京科学大学の研究者と共同で行われました。研究の一部は、科学研究費補助金・基盤研究(S)課題番号23220006「海のこころ、森のこころ−鯨類と霊長類の知性に関する比較認知科学−」の助成を受け実施されました。

論文タイトル
Post–conflict affiliation as conflict management in captive bottlenose dolphins (Tursiops truncatus) [doi: 10.1038/srep14275]
http://www.nature.com/articles/srep14275