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カニの音を使った求愛コミュニケーション: ハクセンシオマネキのメスはオスの発する音を聴いて配偶相手候補を選ぶ

2016年06月02日

干潟に生息するハクセンシオマネキでは、メスがオスの発する求愛の「音」を聴いて配偶相手候補を選ぶことが明らかになりました。

水産・環境科学総合研究科の竹下文雄特任研究員と琉球大学名誉教授の村井実博士は、熊本県上天草市永浦島に生息するハクセンシオマネキを対象に、繁殖期にオスが巣穴の内部からメスに向かって発する音に着目して研究を行いました。ハクセンシオマネキのオスは繁殖期になると片方の大きなハサミを用いた求愛ディスプレイによりメスを自身の巣穴近くまで誘引します。ハサミによる誘引に成功するとオスは巣穴内部に移動しますが、メスはしばしば巣穴の入り口に留まり、オスを追って巣穴内部に移動するか、もしくは移動せず配偶相手の探索を続けます。さらにメスは巣穴内部に移動した後も配偶するか、もしくは巣穴を出て探索を継続するか決定します。

研究者らはまず乾燥標本から作成したメスのダミーを用いて、野外でのオスの発音パターンを録音・解析しました。発音パターンはパルスの繰返から成り、平均周波数は体サイズが大きくなるにつれて低くなること、また繰返が続くと発音間隔が延長することが分かりました。さらに野外での配偶者選択実験により、メスが巣穴入口に訪問した際、単位時間あたりのパルス数が多い時に巣穴内部へ移動しやすいことが分かりました。しかし巣穴内部に移動後、最終的にメスがオスとの配偶を受け入れるかどうかに関しては音の特徴は関連していませんでした。この結果は本種のオスが聴覚ディスプレイにより、自身の情報をメスに伝達し、メスはそれを基準に配偶相手候補を選ぶことを示唆しています。

シオマネキ属の求愛行動に関する研究では、その特徴的な形態や行動からハサミを用いた求愛ディスプレイや巣穴入口に作る構造物に関する研究が大部分を占めてきました。オスの発音に関しても古くからその存在が知られてきましたが、これまでその機能を具体的に示した研究はありませんでした。今回の研究成果はメスがオスを配偶相手に選ぶ際に、視覚的なシグナルだけでなく聴覚による求愛行動もその配偶相手の選択に強く影響しており、本属の複雑な求愛シグナルの進化に関する重要な知見として評価されています。

本研究の成果は『The Science of Nature』に5月30日付でオンラインに公開されるとともに、シュプリンガー社のプレスリリースでも紹介されています。

論文タイトル: The vibrational signals that male fiddler crabs (Uca lactea) use to attract females into their burrows

The Science of Nature誌内の論文URL: http://link.springer.com/article/10.1007/s00114-016-1371-2

シュプリンガー社によるプレスリリース (英文)

http://www.springer.com/gp/about-springer/media/springer-select/fiddler-crabs---morse-code--attracts-mrs--right/10211960

 

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