HOME > Research > 詳細

Research

ここから本文です。

医歯薬学総合研究科(薬学系)の古川かほり博士後期課程大学院生(日本学術振興会特別研究生)らによる研究論文が英国王立化学会Organic & Biomolecular Chemistry誌(IF: 3.564)に掲載され、本研究成果が同誌の表紙(Front cover)に採択されました

古川かほり(薬化学研究室:生命医科学域の大庭誠准教授、田中正一教授らによる指導論文)らは、酸性環境に応答してヘリックス構造からランダム構造へとペプチドの二次構造を変化させる技術を開発しました。
非天然アミノ酸の一つであるジ置換アミノ酸は、天然のアミノ酸にはない特性を有していることから、創薬ツールや生体機能解明のためのプローブとして期待されています。この特性の一つが、短いペプチドにおいてペプチド二次構造を固定化させることです。特に、側鎖が環状のジ置換アミノ酸を含有するペプチドはヘリックス構造を形成しやすく、鎖状のジ置換アミノ酸からなるペプチドは主鎖がまっすぐに伸びたプラナー構造を形成しやすいという特徴があります。今回、側鎖にアセタール構造をもった環状ジ置換アミノ酸を開発し、ペプチドに導入することで安定なヘリックス構造を形成させることに成功しました。一方、酸性条件下でアセタールを加水分解してアミノ酸を環状構造から鎖状構造へと変換すると、親・疎水性のバランスの変化や水素結合ドナーの出現と相まって、二次構造がランダム構造へと劇的に変化していました。今回開発したペプチド二次構造を変化させる技術は、様々な機能性ペプチドに応用できる要素技術であり、ペプチド創薬への応用も期待されます。


論文タイトル
Low pH-triggering changes in peptide secondary structures

リンク
本文:http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2017/ob/c7ob01374d
表紙:http://pubs.rsc.org/en/content/articlepdf/2017/ob/c7ob90130e?page=search

チラシ
※クリックで拡大