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ダニが媒介する日本紅斑熱とつつが虫病の 臨床・疫学的特徴を解明

2018年09月10日

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の山藤栄一郎(社会人大学院生、亀田総合病院総合内科医師)、同熱帯医学研究所臨床感染症学分野の有吉紅也教授らの研究グループは、ダニが媒介する感染症である、日本紅斑熱とつつが虫病の病像の違いを世界で初めて詳細に明らかにしました。

日本紅斑熱やつつが虫病は、診断や治療が遅れると死亡することがあり、国内で毎年死亡例が報告されています。しかし、両者ともまれな病気であることから、2つの病気の違いを詳細に比較して調査されたことはありませんでした。

研究グループは、平成16年から12年間にわたる千葉県南房総の医療機関を受診した患者データを集めて解析を行いました。どちらの病気も症状や身体所見には「3徴」と呼ばれる、発熱や発疹、ダニの刺し口といった共通点がある一方で、日本紅斑熱はつつが虫病と異なり、手のひらや足の裏にも発疹が多く認められ、発疹は出血を伴うこと(紫斑)が多い、ということがわかりました。発生時期については、日本紅斑熱は春から秋にかけての発生に対して、つつが虫病は晩秋に多く発生がみられました(図1)。そして、それぞれの病気が集中的に発生する地域は、ほとんど重ならないことを示しました(図2)。

また「3徴」とはいえ、25%以上の患者が医療機関受診時に発熱を認めず、50%以上の患者は発疹やダニの刺し口に気づいていなかったことが判明しました。さらに、診断に使用される血清検査は、感染の急性期には正しく診断できないため、回復期と合わせて診断することが不可欠であることを確認しました。そのため、これらの病気を疑われず検査されない、あるいは疑われて検査しても診断できなかった例は、少なくないと推測されます。

これから秋かけて、レジャーや農作業中にダニに刺されて感染する危険性が高まります。刺されないように予防するとともに、自分では刺された覚えがなくても、野外での作業後、数日して熱が出た時には、感染している可能性があるので、早めに医療機関に受診する必要があります。

この研究は、診断の難しい日本紅斑熱とつつが虫病を詳細に比較した世界初の研究であり、第一線で診療に関わる医師に有用な情報を提供し貢献する研究です。
今回の研究成果は、米国疾病予防管理センター(CDC)が発行する、エマージング・インフェクシャス・ディジージズ(Emerging Infectious Diseases)のオンライン版で2018年7月23日(米国時間)に掲載されました。

月別発生数
(図1:月別発生数)
地理的クラスター
(図2:地理的クラスター)

論文詳細 URL: https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/24/9/17-1436_article
英文タイトル:Distinguishing Japanese Spotted Fever and Scrub Typhus, Central Japan, 2004–2015
日本語タイトル:日本紅斑熱とつつが虫病の臨床・疫学的特徴

より詳しい研究内容情報は以下までお問い合わせください。
長崎大学 熱帯医学研究所 臨床感染症学分野
山藤(さんどう) 栄一郎 
TEL:095-819-7842 
E-mail:eiichiro-ymn*umin.ac.jp(*をアットマークに変えて送信ください)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の山藤栄一郎(社会人大学院生、亀田総合病院総合内科医師)、同熱帯医学研究所臨床感染症学分野の有吉紅也教授らの研究グループは、ダニが媒介する感染症である、日本紅斑熱とつつが虫病の病像の違いを世界で初めて詳細に明らかにしました。

 

 日本紅斑熱やつつが虫病は、診断や治療が遅れると死亡することがあり、国内で毎年死亡例が報告されています。しかし、両者ともまれな病気であることから、2つの病気の違いを詳細に比較して調査されたことはありませんでした。

 

 研究グループは、平成16年から12年間にわたる千葉県南房総の医療機関を受診した患者データを集めて解析を行いました。どちらの病気も症状や身体所見には「3徴」と呼ばれる、発熱や発疹、ダニの刺し口といった共通点がある一方で、日本紅斑熱はつつが虫病と異なり、手のひらや足の裏にも発疹が多く認められ、発疹は出血を伴うこと(紫斑)が多い、ということがわかりました。発生時期については、日本紅斑熱は春から秋にかけての発生に対して、つつが虫病は晩秋に多く発生がみられました(1)。そして、それぞれの病気が集中的に発生する地域は、ほとんど重ならないことを示しました(2)。

 

また「3徴」とはいえ、25%以上の患者が医療機関受診時に発熱を認めず、50%以上の患者は発疹やダニの刺し口に気づいていなかったことが判明しました。さらに、診断に使用される血清検査は、感染の急性期には正しく診断できないため、回復期と合わせて診断することが不可欠であることを確認しました。そのため、これらの病気を疑われず検査されない、あるいは疑われて検査しても診断できなかった例は、少なくないと推測されます。

 

 これから秋かけて、レジャーや農作業中にダニに刺されて感染する危険性が高まります。刺されないように予防するとともに、自分では刺された覚えがなくても、野外での作業後、数日して熱が出た時には、感染している可能性があるので、早めに医療機関に受診する必要があります。

 

 この研究は、診断の難しい日本紅斑熱とつつが虫病を詳細に比較した世界初の研究であり、第一線で診療に関わる医師に有用な情報を提供し貢献する研究です。

 今回の研究成果は、米国疾病予防管理センター(CDC)が発行する、エマージング・インフェクシャス・ディジージズ(Emerging Infectious Diseases)のオンライン版で2018723(米国時間)に掲載されました。

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