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医歯薬学総合研究科の西田教授、石橋准教授らが狂牛病などの病原体である異常プリオンの感染にインターフェロンが一定の抑制効果を示すことを明らかにしました

2019年03月04日

  長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・新興感染症病態制御学系専攻・感染分子解析学分野の西田教行教授、石橋大輔准教授らの研究グループは、狂牛病などの病原体である異常プリオンの感染にインターフェロン(IFN)が一定の抑制効果を示すことを明らかにしました。
  プリオン病はヒトのみならずウシ・ヒツジ・シカ・ミンク・ラクダなどにも感染する人獣共通感染症です。家畜であるウシのプリオン病は制圧されましたが、現在、トナカイなどの野生のシカの間では、CWDプリオンが北米を中心に広がっています。一方、ヒトの代表的プリオン病であるクロイツフェルト・ヤコブ病は、年間100万人に1〜2人の割合で発症する極めて希な疾患ですが、一旦発症すると認知症が急速に悪化し、1年ほどで死に至る病気です。汚染牛肉を食べてBSEプリオンに感染するリスクは無くなりましたが、今も有効な治療法がない指定難病の一つです。プリオンは感染動物の食肉や感染者からの臓器移植でも、感染しうることが知られていますが、通常の病原体の細菌やウイルスとは異なり、遺伝子を持たない謎の多い蛋白性病原体です。誰しもの脳内に必ず存在する正常プリオン蛋白が異常プリオンに変化し蓄積することで発症するとされています。
  人間の体内に備わる免疫機構により通常のウイルス等の病原体は排除されるのですが、プリオンが感染しても免疫は有効に働かないと長い間考えられてきました。石橋准教授らは、インターフェロン制御因子3(IRF3)と呼ばれる自然免疫系遺伝子がプリオン感染に対して防御的に働いていることを報告し(Ishibashi D, et al. J Virol. 2012 May;86(9):4947-55. doi: 10.1128/JVI.06326-11)、今回の研究では、IRF3によって誘導されるI型IFN(IFN-α、-β)に着目して研究を進め、I型IFN受容体作用薬(RO8191)をプリオン感染後の通常のマウスに投与すると発症が遅くなることを見つけ、さらにI型IFN受容体(IFNAR1)遺伝子を欠損したマウスを用い、このマウスがプリオン病を早期に発症することを確かめ、本来生体内に備わる代表的な自然免疫機構であるI型IFNがプリオンを排除しようと働いていることを世界で初めて証明しました。これらの新しい知見は、人間にとって最も制圧の難しい死に至る病とも言われるクロイツフェルト・ヤコブ病の画期的治療法開発の足掛かりになると期待されます。
  この研究内容は、2月7日に英国の医科学誌『Brain』のオンライン版に発表され、Brain誌の4月号に注目論文(Editor's Choice Article)として選出されました。

Daisuke Ishibashi, Takujiro Homma, Takehiro Nakagaki, Takayuki Fuse, Kazunori Sano, Katsuya Satoh, Tsuyoshi Mori, Ryuichiro Atarashi and Noriyuki Nishida.
『 Type I interferon protects neurons from prions in in vivo models 』
Brain. 2019 Feb 7. doi: 10.1093/brain/awz016.

※インターフェロンとは…外来の異物や病原体(細菌やウイルスなど)が宿主の体内に侵入した時に誘導され、病原体の増殖阻止や炎症などの免疫反応の調節に関わる因子。


問い合わせ先:国立大学法人 長崎大学医歯薬学総合研究科
新興感染症病態制御学系専攻感染分子解析学分野
西田教行 教授、石橋大輔 准教授
電話:095-819-7059
E-mail:noribaci@nagasaki-u.ac.jp
           dishi@nagasaki-u.ac.jp

 

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・新興感染症病態制御学系専攻・感染分子解析学分野の西田教行教授、石橋大輔准教授らの研究グループは、狂牛病などの病原体である異常プリオンの感染にインターフェロンが一定の抑制効果を示すことを明らかにしました。
プリオン病はヒトのみならずウシ・ヒツジ・シカ・ミンク・ラクダなどにも感染する人獣共通感染症です。家畜であるウシのプリオン病は制圧されましたが、現在、トナカイなどの野生のシカの間では、CWDプリオンが北米を中心に広がっています。一方、ヒトの代表的プリオン病であるクロイツフェルト・ヤコブ病は、年間100万人に1〜2人の割合で発症する極めて希な疾患ですが、一旦発症すると認知症が急速に悪化し1年ほどで死に至る悲惨な病気です。汚染牛肉を食べてBSEプリオンに感染するリスクは無くなりましたが、今も有効な治療法がない指定難病の一つです。プリオンは感染動物の食肉や感染者からの臓器移植でも、感染しうることが知られていますが、通常の病原体の細菌やウイルスとは異なり、遺伝子を持たない謎の多い蛋白性病原体です。誰しもの脳内に必ず存在する正常プリオン蛋白が異常プリオンに変化し蓄積することで発症するとされています。
人間の体内に備わる免疫機構により通常のウイルス等の病原体は排除されるのですが、プリオンが感染しても免疫は有効に働かないと長い間考えられてきました。石橋准教授らは、インターフェロン制御因子3(IRF3)と呼ばれる自然免疫系遺伝子がプリオン感染に対して防御的に働いていることを報告し(Ishibashi D, et al. J Virol. 2012 May;86(9):4947-55. doi: 10.1128/JVI.06326-11)、今回の研究では、IRF3によって誘導されるI型IFN(IFN-α、-β)に着目して研究を進め、I型IFN受容体作用薬(RO8191)をプリオン感染後の通常のマウスに投与すると発症が遅くなることを見つけ、さらにI型IFN受容体(IFNAR1)遺伝子を欠損したマウスを用い、このマウスがプリオン病を早期に発症することを確かめ、本来生体内に備わる代表的な自然免疫機構であるI型IFNがプリオンを排除しようと働いていることを世界で初めて証明しました。これらの新しい知見は、人間にとって最も制圧の難しい死に至る病とも言われるクロイツフェルト・ヤコブ病の画期的治療法開発の足掛かりになると期待されます。この研究内容は、2月7日に英国の医科学誌『Brain』のオンライン版に発表され、Brain誌の4月号に注目論文(Editor's Choice Article)として選出されました。

Daisuke Ishibashi, Takujiro Homma, Takehiro Nakagaki, Takayuki Fuse, Kazunori Sano, Katsuya Satoh, Tsuyoshi Mori, Ryuichiro Atarashi and Noriyuki Nishida.
『 Type I interferon protects neurons from prions in in vivo models 』
Brain. 2019 Feb 7. doi: 10.1093/brain/awz016.


問い合わせ先:
国立大学法人 長崎大学医歯薬学総合研究科
新興感染症病態制御学系専攻
感染分子解析学分野
西田教行 教授、石橋大輔 准教授
電話:095-819-7059
E-mail:noribaci@nagasaki-u.ac.jp
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