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ヤングアスリートのための熱中症予防システムを開発 〜部活等時の自己管理強化による熱中症予防に向けて〜

2019年11月13日

地球温暖化の影響で、熱中症のリスクが年々高まっています。特に、中高生などの部活動においては、活動に熱中するあまり水分補給が十分でなかったり、適切な休憩を取らなかったりすることで、より熱中症のリスクを増大させています。そこで、野球アカデミー「オンデック長崎」(代表:山中希)と、国立大学法人 長崎大学大学院工学研究科、小林透研究室の学生、及び工学部情報工学コース1年生の女子学生からなるプロジェクトチームが、ヤングアスリートのための熱中症予防システムを開発しました。

本システムでは、IoTと人工知能を活用し、練習メニューや各生徒の水分補給量、暑さ指数から、生徒毎に熱中症危険レベルをアバターで表示し、生徒自身に熱中症の危険度を分かりやすく表示します。危険度が決められたレベルを超過すると、アラームで各生徒に通知したり、SNS(LINE)で教員に通知したりすることができます(図1)。具体的には、グラウンドなどの屋外の練習場に設置したタブレットPCにより練習メニューを登録すると、今回開発した生徒毎の飲水量を計測するデバイスからの情報と、環境省が発表する暑さ指数から生徒毎の熱中症危険度を算出し、その結果を生徒毎のアバターでタブレットPC上に見える化します。そして、あるレベルを超えると音アラームやSNSによる通知などで、生徒自身や教員に知らせることができます。(図2)。これにより、生徒自身が声を掛け合い給水や休憩をとることで、熱中症のリスクを自己管理できるようになったり、教員の負担を軽減できたりすることが可能です。

図1 熱中症予防システム概要

図1 熱中症予防システム概要

 

 

図2 熱中症予防システム表示イメージ

図2 熱中症予防システム表示イメージ

これまでも屋外での作業などにおいて、暑さ指数に基づき、熱中症の警告を発出するシステムなどが実用化されています。しかし、高価な暑さ指数測定器を準備する必要があったり、作業現場単位での警告発出しかできなかったりといった課題がありました。

今回開発したシステムでは、環境省が公表する暑さ指数を基に、人工知能により練習場所の暑さ指数を推定することで、暑さ指数測定器を不要とすることが可能です。また、生徒が飲水に利用するペットボトルをIoT化することで、生徒毎の飲水量の計測を可能としました。さらに登録された練習メニューの強度を勘案することで、生徒毎に熱中症の危険度を予測して、通知することを可能としています。

本システムは、長崎大学工学部・工学研究科が進めるPBL(Project Based Learning)型授業(※1)である創成プロジェクト(※2)の一環で開発したものです。本創成プロジェクト最終成果発表会(令和元年11月9日)において発表したところ、参加者からとても高い評価を頂きました。そこで、今回、学生たちのアイディアと努力の結晶を是非取材していただきたく、報道発表させていただくこととしました。ご要望により長崎大学にて詳細説明やデモを実施いたしますので、この機会に、是非取材賜りますようお願い申し上げます。

 

※1 30年ほど前にカナダで始められた授業形態で「問題解決型授業」のことです。教員はまず学生に課題を出します。このとき幾つかのインストラクションはしますが、あくまで学生が自主的に学習して問題を解決するというものです。

※2 学生主体のものづくり実践を通して、学生のエンジニアリングデザイン能力や想像力の向上を目指す教育を実施することで、これからの工学・工業界をけん引する人材の育成が目的です。

 

問い合わせ先:
国立大学法人 長崎大学大学院工学研究科情報工学コース
担当:小林 透 教授
TEL: 095-819-2577
Email: toru@cis.nagasaki-u.ac.jp

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