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教育学部の大庭伸也准教授がホタルの生態に関して新知見:長崎県五島列島のゲンジボタルは全国で最も速く明滅する

2020年02月19日

国立大学法人 長崎大学教育学部の大庭伸也准教授と同学部学生の沼田郁さん(2017年度卒業)、下関市立豊田ホタルの里ミュージアムの川野敬介博士の研究グループは、長崎県を中心に約40か所のゲンジボタルに関して明滅パターンおよび遺伝子解析を実施し、五島列島(宇久島、中通島、若松島、福江島)ではこれまでに報告されていたものに比べて速く(1秒に1回)明滅する個体群が分布することを初めて明らかにしました(図1)。

ゲンジボタルの明滅パターンの違い

図1.西日本型(A;山口県下関市豊田町;勢戸研二氏撮影)および五島列島型(B;長崎県五島市富江町;上田浩一氏撮影)ゲンジボタルの明滅パターン の違い。五島列島型は明滅が速いため、1個体の明滅が線上に繋がって見える。

本州、四国、九州に分布する日本固有種のゲンジボタルは、5〜6月にきれいな小川の近くで夜に光りながら飛ぶのが観察されます。これまでの研究から、同種のゲンジボタルであっても地域によって光り方(明滅速度)が異なること、すなわち、中部山岳地帯を境にして、東日本にはゆっくりと(4秒に1回)明滅する東日本型、西日本には速く(2秒に1回)明滅する西日本型、その中間付近では3秒に1回明滅する中間型の分布が知られていました。本研究の結果より、長崎県下の離島でも対馬島や壱岐島、平戸島、生月島、長崎県本土のゲンジボタルは2秒1回明滅の西日本型に分類されることから、1秒1回型は五島列島にのみ分布することになります(図2)。

図2.ゲンジボタルの明滅パターンの地域ごとの違い

図2.ゲンジボタルの明滅パターンの地域ごとの違い

日本全国で最も離島が多い長崎県、特に生物地理学的に特徴のある対馬の自然史に関する情報は多くの生物学者により蓄積されてきました。先行研究でも対馬のゲンジボタルの明滅パターンや遺伝子解析も実施されていましたが、これまで五島列島についてはほとんど注目されていませんでした。

今回の研究で明らかにされたように、ゲンジボタルのような注目度の高い昆虫でも五島列島の自然史には未解明の謎が多く残されています。この研究をきっかけとして、五島列島の自然史や生物多様性の成り立ち、その貴重さが今後ますます注目されると期待されます。

本研究の成果は日本昆虫学会の英文誌『Entomological Science』に2020年2月18日に早期公開されました。

論文タイトル:Variation in flash speed of Japanese firefly, Luciola cruciata (Coleoptera: Lampyridae), identifies distinct southern “quick-flash” population on Goto Islands

論文(英文)ダウンロード:https://doi.org/10.1111/ens.12403

【お問い合わせ先】
国立大学法人長崎大学 教育学部 数理情報講座 理科専攻 大庭 伸也 准教授
メール:ooba*nagasaki-u.ac.jp(*を@に変換してください)

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