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ギニアの感染拡大中心地におけるエボラウイルス病流行時の経験は流行終息後の健康希求行動にどのような影響を及ぼしているか?

熱帯医学研究所(熱帯医学グローバルヘルス研究科兼任)の奥村順子教授は、同研究科大学院生らとともに2013年末から2015年の間エボラウイルス病(EVD)が大流行したギニアの感染エピセンター(拡大中心地)において世帯調査を実施しました。同研究メンバーらは、本研究以前に保健医療施設における医療情報情を分析し、予防接種率や母子保健サービスの利用率低下を報告してきましたが、母親もしくは保護者がどのような考えで医療サービスを受診するか否かを決定しているのかは不明でした。この点を明らかにするために世帯調査を企画・実施し、下記の結果を得ました。

対象は5歳未満の子を持つ保護者です。当初、EVD患者が多く発生した地域の医療機関の利用率は、全般的に低いと考えられていましたが、今回の調査から、EVDにより死亡した身内や親しい友人等を持つ保護者は、子供が発熱した際には積極的に医療機関を受診していることが明らかになりました。また、周辺の人々のEVDに起因する死亡を経験した人々は、大流行終息から2年が経過した時点でも当時の恐怖心を抱き続けており、精神面での支援が必要である事が示唆されました。 詳細は、下記の論文で公開しています。

 概念図:EVD終息後の健康希求行動に及ぼす要因

概念図:EVD終息後の健康希求行動に及ぼす要因

◆論文タイトル
Do memories of the Ebola virus disease outbreak influence post-Ebola health seeking behavior in Guéckédou district (epicentre) in Guinea? A cross-sectional study of children with febrile illness.

◆著者
Bienvenu Salim Camara, Junko Okumura, Alexandre Delamou.

◆雑誌名
BMC Public Health
((2020) 20:1298. (August 27, 2020)
https://doi.org/10.1186/s12889-020-09359-0