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環境科学部の教員らが国際貿易の視点からインドネシアのパーム油問題の新たな要因を特定

2020年12月01日

パーム油はインスタント食品やアイスクリームといった食品・菓子だけでなく、洗剤や化粧品などの化学製品、グリース、バイオ燃料等、世界で最も幅広く用いられている植物油脂です。一方で、パーム油の原料となるアブラヤシのプランテーションの急速な拡大により、森林破壊やそれに伴うオランウータン等の固有種の激減、土壌劣化、焼畑に伴う越境大気汚染等を引き起こしていることが以前から問題視されています。しかしながら、パーム油は製品の成分表示で「植物油脂」とのみ記載されることが多く、またその用途の広さからも、単に輸出入量を追うだけでは中間財としての利用された分も考慮した「真の」消費量を把握することが非常に困難という課題がありました。

そこで本学環境科学部環境政策コースの重富陽介准教授、山本裕基准教授、近畿大学経済学部の石村雄一講師の研究チームは、世界最大の生産国であるインドネシアにおけるパーム油生産とその環境問題の関係に注目し、2000年以降の主要国43ヵ国とその他の国・地域における真のパーム油消費量 (フットプリント) の推移を、世界で初めて明らかにしました。また、その結果と先行研究、地理情報システムを利用し、各国が間接的に寄与した2000年から2005年および2005年から2010年にかけて生じたインドネシアのプランテーションに必要となった土地利用面積とそれに関連して生じていた火災面積を推計しました。

その結果、解析データの最新年 (2013年) では日本全体で69.1万 t (8位/44ヵ国・地域)、家庭では一人あたり3.7 kg (26位/44ヵ国・地域) のパーム油が直接的および間接的に消費されていました。さらに、2000年から2010年の日本のパーム油消費は、11.5万ヘクタールの土地利用面積を必要とし (図1)、またそれに関連して2.3万ヘクタールの火災が生じていた可能性が示唆されました。日本をはじめ、大半の国のパーム油フットプリントはインドネシアからの直接輸入量を超過しており、貿易統計では現れない化学製品やアパレル等の間接的なパーム油の依存度の高さも浮き彫りとなりました。

本研究の結論は、パーム油の需要側から生産国で生じる諸問題の解決を図ろうとする新たな取組みの重要性を指摘しています。本研究の成果は国際学術誌Scientific Reportsに受理され、日本時間で11月26日19時に公開されました。オープンアクセスのため、どなたも下記URLでダウンロードして読むことができます。

【論文情報】
Shigetomi, Y., Ishimura, Y., Yamamoto, Y. (2020) Trends in global dependency on the Indonesian palm oil and resultant environmental impacts. Scientific Reports, 10, 20624.

(邦題)
重富陽介,石村雄一,山本裕基 (2020) 世界のインドネシアにおけるパーム油依存の傾向とそれに伴う環境影響, Scientific Reports, 10, 20624.

(URL)
https://www.nature.com/articles/s41598-020-77458-4


図1. 2000年から2010年にかけて各国のパーム油の直接・間接利用に必要となった、
インドネシアにおけるプランテーションのための土地利用面積 (a) と各国家庭の一人あたり土地利用面積 (b)
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