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オスのマッコウクジラに長期的な社会的関係があることを明らかにしました

2021年01月12日

長崎大学大学院 水産・環境科学総合研究科の小林駿氏(海洋フィールド生命科学専攻)と天野雅男教授らの研究グループは、長期にわたる個体識別調査から、オスのマッコウクジラに長期間続く社会的な関係があることを初めて明らかにしました。マッコウクジラのメスは生まれた群れで一生を過ごしますが、オスは成熟する前に母親の群れを離れ、同じくらいの大きさのオス同士で生活するようになります。これらのオスの間に持続的な社会的関係があるのかは分かっていませんでした。繁殖に関与しないオス同士の長期的な関係は哺乳類の中でも珍しく、採餌における共同の重要性がこの特異な社会の形成に強く影響していると考えられます。

本研究では、北海道根室海峡に来遊するオスのマッコウクジラを対象にした12年に及ぶ個体識別調査の結果をもとに、どの個体とどの個体が近くにいたか、近くにいる相手を選り好みしているか、オス同士の関係がどのくらいの期間続くのかを検討しました。その結果、オスは特定の個体と近接しており、そのような関係は少なくともオスがこの海域に滞在する数年の間続くことが示唆されました。長期的な関係にあるオス同士はエコロケーションクリックス(餌を探し出すための音)を介して餌の分布などの情報を共有し、採餌効率を向上させている可能性があります。また、長期間続く関係にあるオス同士は海面付近に集まって、互いに触れ合ったり一緒に休息したりすることも明らかになりました。本研究は、繁殖以外の要因がオスの哺乳類の社会にどのように影響を及ぼすのかを示す重要な成果です。

掲載誌:PLOS ONE [DOI:https://doi.org/10.1371/journal.pone.0244204]

論文名:Long-term associations among male sperm whales (Physeter macrocephalus)

著 者:小林 駿1、Hal Whitehead 2、天野 雅男1

所 属:1長崎大学大学院 水産・環境科学総合研究科、2 Dalhousie University, Department of Biology

本研究はDalhousie University (Canada)の Hal Whitehead 博士と共同で行われました。研究の一部は、科学研究費補助金 基盤研究(C)課題番号23220006「マッコウクジラのワカオスの社会構造とその維持機構」、基盤研究(B)課題番号24370012「同所的に生息する大深度潜水ハクジラ類のニッチ分化」、基盤研究(C)課題番号15K07225 「マッコウクジラにおける社会化行動の機能」の助成を受けて実施しました。

一緒に水面で休息するオスのマッコウクジラ
一緒に水面で休息するオスのマッコウクジラ。体を縦にして、頭の先端が水面から出ている。
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