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国内初、メガネモチノウオの稚魚生産に成功〜再現性のある生産は世界で初めて〜

 (独)水産総合研究センター西海区水産研究所と、長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科水産増殖学研究室は共同で、メガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)の稚魚生産に国内で初めて成功しました。
 メガネモチノウオは熱帯・亜熱帯域に生息するベラ科最大種で、南西諸島海域を含むアジア・オセアニアの熱帯・亜熱帯域で重要な水産資源であり、特に中国では最高級魚として扱われていますが、2004年にワシントン条約*の附属書IIに記載され、国際的な取引が制限されています。増養殖が期待されていますが、これまでにインドネシアでの1例を除いて種苗生産の事例はなく、種苗生産が困難な魚でした。
 本研究により、人為的に産卵を誘発し効率的に受精卵を得ることに成功しました。さらにその後の生産上の問題点として、本種のふ化仔魚が非常に小さく、さらに口が小さいため、一般的な餌を食べることができないことであることがわかりました。そこで、ふ化仔魚用の餌としてスナワムシ科の全長0.08mmの動物プランクトンProales similis(以下、プロアレス)を新たに用いることにより、今年8月に22尾、翌9月には飼育環境を改善し537尾と、インドネシアの生産尾数(120尾)を上回る生産に成功しました。これは、世界で初めて本種の稚魚生産を再現することに成功したものです。
 今後、水研センターは、本研究の成果を活用し、本種の養殖を新たに興すために必要な技術の開発を進めていく予定です。また、本成果はメガネモチノウオの天然資源の回復に向けた研究に活用されることも期待されます。

*「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(CITES)

詳しくは「参考資料」(PDF/274KB)をご覧ください。