HOME > Research > 詳細

Research

ここから本文です。

熱帯医学研究所の橋爪教授、皆川教授らの研究が「Scientific Reports」2012年2月号に掲載

 本学熱帯医学研究所の橋爪真弘教授、皆川昇教授と北海道大学の研究グループは,1990年代に東アフリカ高地で発生した大規模なマラリア再流行が、インド洋ダイポール現象(※)によるものである可能性を証明した。
研究グループはケニア西部の高地と隣接するビクトリア湖周辺の低地における過去15-75年間にわたるマラリア患者数のデータを収集し、インド洋ダイポール現象の指標であるダイポールモード指数との関連を時系列解析法を用いて検討した。その結果、高地では1990年代にマラリア患者数とダイポールモード指数との相関が高く、インド洋ダイポール現象がマラリア流行に影響を及ぼしたと考えられた。一方、ビクトリア湖周辺の低地においてはマラリア患者数とダイポールモード指数との相関は明らかでなかった。インド洋から運ばれる湿った大気が高地の降雨量に影響を及ぼし、マラリア媒介蚊の発生に関与していると考えられた。これまで1990年代の高地マラリア再流行は、薬剤耐性や土地利用変化、人口移動、エルニーニョ現象、温暖化などが原因と言われてきたが、本研究により初めてインド洋ダイポール現象が関与していることが証明された。これらの成果は、気候変動によるマラリア流行動態の将来予測に役立つことが期待される
本研究の成果は,「Scientific Reports」2012年2月号に掲載された。
(※)インド洋ダイポール現象
インド洋東部(ジャワ島沖)の海面水温が異常に低くなり、反対にインド洋西部(アフリカ東方沖)の海面水温が異常に上昇する現象。

【詳しくは下記をご覧ください】
http://www.nature.com/srep/2012/120216/srep00269/full/srep00269.html

new!!
2012/03/14
日本語版のネーチャーウェブサイトに『注目の論文』として掲載されました。
http://www.natureasia.com/japan/srep/highlights/srep00269.php