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大学院医歯薬学総合研究科 荻朋男准教授らの国際研究チームがゼッケル症候群の新規責任遺伝子ATRIPを同定

 長崎大学がん・ゲノム不安定性研究拠点(NRGIC)/大学院医歯薬学総合研究科 荻朋男准教授らの国際研究チームは、小人症や小頭症など の発達異常を特徴とするDNA修復欠損性の遺伝性疾患である、ゼッケル症候群(Seckel syndrome: OMIM 216000)の新規責任遺伝子ATRIPを同定した。ゼッケル症候群は非常に稀な劣性遺伝病で、世界でもこれまでにataxia telangiectasia and Rad3 related (ATR)遺伝子に異常の ある2家系が知られるのみであった。研究グループでは今回、ヨーロッパとアメリカを中心に新規患者のゲノム解析を実施し、ATR蛋白質と 相互作用してDNA修復チェックポイントの活性化調節に必須であるATR interacting protein (ATRIP)をコードするATRIP遺伝子に疾患責任変 異を同定した。生化学的機能解析の結果、変異型ATRIP蛋白質はATRとの相互作用とDNA修復チェックポイント機能が低下しており、これにより疾患が発症すると考えられた。
今後はATR/ATRIP複合体によるDNA修復チェックポイントの活性化メカニズムを詳細に解析することで、新規抗がん剤の開発など創薬スクリーニング等の応用研究への道筋とする予定である。
  本研究の成果は米国の遺伝学専門誌「PLOS Genetics」(2012年11月8日オンライン速報版)に掲載された。
http://www.plosgenetics.org/article/info:doi/10.1371/journal.pgen.1002945