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原爆後障害医療研究所原研内科の糸永、今西、宮崎教授らの、急性骨髄性白血病細胞のmyeloperoxidase発現は特徴的なDNAメチル化異常と関連することを示した研究が、Leukemia誌に掲載された

2014年01月28日

長崎大学原爆後障害医療研究所原研内科の糸永英弘、今西大介、宮崎泰司教授らの研究成果が、Leukemia誌に発表されました。Leukemia誌は、血液学の分野で最も影響力のある学術雑誌のひとつです。

発がんには、正常な細胞をがん細胞に変化させるための非可逆的な変化が必要です。遺伝子の点突然変異や融合遺伝子形成などの遺伝子本体(ジェネティクス)の異常は、急性骨髄性白血病の発症に必要と考えられています。エピジェネティクスは塩基配列によらない遺伝情報の発現制御であり、体細胞ではその状態が伝承されます。DNAのメチル化修飾(DNAメチル化)は代表的なエピジェネティック要因です。最近では、骨髄異形成症候群などの造血器悪性腫瘍において病態形成にDNAメチル化の異常が関わっていると知られるようになってきました。

Myeloperoxidase(MPO)の発現の有無を知ることは、急性骨髄性白血病の診断に不可欠かつ簡便な方法として、実臨床で広く利用されています。急性骨髄性白血病細胞におけるMPOの発現状態は、これまでのジェネティクス異常のみでは十分に説明できないため、その調節機序の解明は急性骨髄性白血病の病態の理解につながると考えられていました。今回の研究では、MPO遺伝子がDNAメチル化により発現調整を受けていること、MPOの発現が病態形成に関わる他の遺伝子のDNAメチル化異常と強い関係を有していることが明らかになりました。特に、DNAメチル化を司る酵素の一つであるDNMT3B遺伝子とMPO遺伝子の発現量が逆相関していることも見出され、DNMT3B遺伝子が白血病発症に関与している可能性が示唆されました。

今回の研究により、DNAメチル化異常が、急性骨髄性白血病の病態形成に大きな意味を持つことが明らかになりました。DNAメチル化異常を誘発する原因は炎症を含め多数存在しますが、環境との相互作用が重要であると考えられています。そのため、今回の論文は被爆後60年以上が経過した現在でも発症を認める被爆者白血病においても、DNAメチル化異常研究の重要性を示唆する重要な報告となることが期待されます。

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