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7400万人の死亡者データから気温関連死の実態が明らかに

長崎大学熱帯医学研究所やロンドン大学衛生熱帯医学大学院など12カ国の研究機関が約7400万人の死亡統計データを解析し、気温と死亡者数の関係を明らかにした。近年、地球温暖化に伴う夏の猛暑や熱波による死亡者数の増加が注目されているが、今回の研究により、低気温時の健康管理にも目を向けるべきであることが明らかになった。

本研究には、熱帯医学研究所の橋爪真弘教授が参加。12カ国の研究機関が日本を含む世界13カ国384都市で過去28年間に死亡した人のデータを収集し、最も低い死亡率が観察される気温(至適気温)を基準として様々な気温での死亡リスクを推定した。その結果、全死亡者の7.7%(約572万人)が亡くなった際に気温が関係したと推定され、その大半は低気温に関係する死亡であることが明らかとなった。極端な高温による死亡者数は全死亡の0.5%未満であった。

現在、世界の多くの国の公衆衛生政策は熱波や猛暑対策にかたよりがちだが、本研究の結果から、猛暑に満たない暑さや寒さ対策にも目を向ける必要があることが示唆された。
なお、本研究は英国の医学雑誌「LANCET」に5月21日に公開されました。