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博士課程 学位記授与式学長告辞

2018年03月20日

   大学院博士課程・博士後期課程を修了した皆さん、本日は誠におめでとうございます。列席の研究科長や指導教授をはじめとする教職員一同と共に、皆さんの学位取得を心よりお祝い申し上げます。また、これまで修了生と共に歩んでこられた本日ご列席の皆様にも心よりお慶び申しあげます。

   本日、85名の方が長崎大学から博士の学位を授与されました。この中には16人の留学生と31名の女性が含まれています。そして、医学博士51人、歯学博士11人、薬科学博士5人、薬学博士1人、工学博士11人、学術博士2人、環境科学博士1人、水産学博士3人と様々な学問分野で日夜研鑽を積まれ、高い研究力を身につけられたことに、心から敬意を表しますと共に大変嬉しく思います。

   本日の学位授与は皆さんにとって一つの目的地であり、ここに到達されたことで大きな達成感を感じられていることと思います。そして今後、研究者として、また教育者として、あるいは実社会での専門家として生きていく上で、これまで以上の難問が立ちはだかる時、その克服のため、長崎大学で学んだことが必ず役立つと信じています。

   世界はグローバル化により大きく変容しています。グローバル化は、私達人類にさらなる繁栄と豊かさをもたらし、科学技術の恩恵や富を地球の隅々まで行き渡らせる可能性を秘めていますが、その反面、産業の空洞化や感染症の伝播、環境問題など多くの課題を表面化させています。また、世界を大きく変容させるもう一つの要因として、情報化社会の進展があります。特に、人間の処理能力を超える人工知能(AI)や、様々なモノとインターネットをつなぐIoT技術の発達などにより、ここ数年で産業は大きな進歩を遂げました。僅か10年前に今の社会の変貌を誰が想像できたでしょうか。そして、皆さんが社会の先頭に立って活躍される10年後は、より予測困難な未来が待っています。国境は政治的な意味しか持たず、経済や教育・研究、労働力などの面においてはますます国境が消滅していくでしょう。

   また、人間が行う仕事の一部分を機械やITシステムが肩代わりし、ヒトの働き方が大きく変わる時代がもうそこまで来ています。現代の社会は、皆さんが学んだ様々な専門分野における英知を結集して作られたものです。しかしながら、これからの予測困難な未来を生き抜くためには、単なる学問だけではなく、皆さんが専門分野を極めるにあたり、知識とともに醸成された批判的思考力、洞察力、想像力(imagination)と創造力(creativity)が今以上に必要となることを忘れないでください。常に主体的に物事をとらえ、批判的思考力をもって目の前の課題の本質を見極め、複雑な問題を解決する想像力と洞察力、創造力をもって新しい道を切り開いてください。皆さんの若い力がこれからの時代に必要なのです。本学で培った力を活かして、予測困難な時代を生き抜き、世の中を変えるブレイクスルーを実践してくれるものと期待しています。

   皆さんは、この長崎大学で3年、5年あるいはそれ以上の期間を過ごしたことと思いますが、私は学長として、皆さんにとってこの学びの期間が様々な出会いに溢れたものであれば大変幸いに思います。友との出会い、教員との出会い、新たな自分の活躍の場との出会いなど、刺激的で、自分の価値観に影響を与えた出会いがいくつあったでしょうか。感受性豊かな若い頃に経験したそれらの出会いは、これからの皆さんの人生における様々な局面で、きっと背中を押してくれる役割をしてくれるでしょう。

   そして出会った仲間は、あなたが一人では解決できない困難と対峙したときに、きっと力を貸してくれるはずです。自分の専門分野を突き詰め、個の力を向上させることも大切ですが、仲間たちと協働することで生まれる和の力は、その何倍も大きな力になります。

   社会には、一人では解決できない問題ばかりです。先に述べたグローバル化、情報化による課題はすべて世界規模で起きています。世界中の仲間と協働し、皆さんに続く次世代が希望をもって頑張れる社会を作ってください。

   最後に、皆さんが作る美しい未来を想像するとともに、皆さんの今後の活躍を祈念して、学長告辞とさせていただきます。

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