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下村 脩 名誉校友 ノーベル化学賞受賞に対する学長コメント

2008年10月08日

本日,本学名誉校友であられます下村脩(しもむら おさむ)先生が,ノーベル化学賞を 受賞されました。本学の先輩が受けられました栄誉に対しまして,長崎大学を代表して心 よりお慶び申し上げます。

下村先生は,原爆復興の緒についたばかりの昭和23(1948)年,長崎医科大学附属薬学 専門部(現在の長崎大学薬学部)に入学されました。昭和26 年に同専門部をご卒業後,昭 和33 年に長崎大学薬学部助手となられ,昭和38 年に名古屋大学水質科学研究所助教授, 昭和40 年にプリンストン大学上席研究員,昭和57 年にウッズホール海洋生物学研究所上 席研究員として,研究を続けられました。その間,昭和56 年から平成12 年まで,ボスト ン大学客員教授も兼任されております。

下村先生は,オワンクラゲより発光タンパク質イクリオンと緑色蛍光タンパク質GFP (Green Fluorescent Protein)を発見し,特にGFP の発見においては,生きた細胞内の特 定の場所や機能タンパク質を蛍光標識して観察できる技術を開発されました。これが,遺 伝子発現のレポーターなどに多用されるようになったことで,分子生物学の分野における 研究の進展に極めて多大な貢献をしています。

こうした功績の重要性は,これまでノーベル医学生理学賞にノミネートされたことや平 成18 年度朝日賞受賞などでも証明されているところですが,今回,ノーベル化学賞に決定 されたことで,ますますその研究の素晴らしさが世に示されたと考えます。
本学といたしましても,下村先輩のこれらの功績を顕彰すべく,平成19 年10 月20 日に 名誉校友(第三号)を授与させていただきました。また,学生諸君や教職員に対しても同 日に記念講演をいただき,学生及び教職員一同,深い感銘を受けたところです。

長崎大学長として申し上げたいことは,大都市部にある大規模大学ではなく,地方に所 在する本学,しかも原爆の惨禍を受け,立ち上がり始めたこの長崎から学びを開始された 下村先生が,この栄誉を受けられたことに,深い喜びと尊敬の念を持っている,というこ とです。地方大学であることが卓越した研究を阻むのではなく,高い志をもって突出した 研究を生み,学ぶことによって,世界に貢献できるということを,全ての「長崎大学人」 は今回,下村先生に教えていただいたと思います。

下村先生に続く人材がまた,この長崎大学から輩出され続けることを期待します。

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