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第1回WHO−長崎大学によるGOARN日本トレーニングコース開講式における歓迎挨拶

2009年02月25日

トマス・グレイン博士(世界保健機関(WHO)感染症対策部担当 官),WHO本部,並びにWHO西太平洋地域事務局(WPRO)の関係者の皆様,日本の研究機関の専門家の皆様,そしてご出席の皆様,おはようございま す。本日は,第1回WHO−長崎大学によるGOARN(地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク)日本トレーニングコースへようこそお出でください ました。

感染症の発生と流行は地球規模での深刻な問題であり,すでに世界のいたる所でそのような事態が発生しております。そし て,このことは,各国政府に日頃からの警戒の必要性と重要性,そして起こり得る状況に緊急に対応できる備えの必要性を再認識させることとなりました。この ような不測の事態を憂慮するにつけ,私は感染症の発生や流行によって国際社会が危機的状況や緊急事態となった時に,迅速かつ効率的に対応できる日本人感染 症専門家の能力を高めるための緻密な研修プログラムが必要であると確信いたします。また,このような研修を実施することにより,他の保健分野の専門家のレ ベルアップにもつながりますし,無論,国内外のどこでどんな感染症が発生しても効果的に対処できることが期待されると思います。

WHOが主催するGOARNとの緊密な連携の下に長崎大学が果たす使命は,日本の保健専門家に研修の場を提供し,専門 知識と技量を更に高めていただくことだと考えております。そうすることによって,WHOが主催するGOARNの旗の下でわが国は国内,ひいては地球規模の 緊急事態にいつでも対応し,効果的に支援できるようになると思います。今回,WHOと長崎大学が共同で実施する充実した研修コースで学んだ日本の保健専門 家や関係者が,近い将来WHOと力を合わせて,世界の感染症対策に指導的な役割を果たすことを期待するものであります。

長崎大学は,これまで長期にわたりWHOと密接に協力して様々な保健支援活動を行ってまいりました。また,研究と研修を目的として,次のようなWHO指定研究協力センターを大学内に設置しております。

  • 精神保健に関する研究・訓練のためのWHO研究協力センター
  • WHO甲状腺と自己免疫疾患研究協力センター
  • 熱帯・新興ウイルス感染症に関するWHO研究協力センター


これまで述べたように,感染症の発生や流行についての昨今の世界的な懸念に対し,長崎大学はWHOおよびWHOが主催 するGOARNと強力に連携して,日本の優秀かつ経験豊富な人材を感染症流行地域に派遣するさまざまな支援を行います。この第1回目のWHO−長崎大学に よるGOARN日本トレーニングコースが成功を収め,日本の保健専門家が国内外の感染症の発生や流行に有効な措置を継続的に提供できるようになることを私 どもは心より願っています。そして,この目的を胸に長崎大学がWHO/GOARNとともに日本の専門家の技量の向上に着手し,貢献できることを大変光栄に 思っております。

日本には利用可能な機材や備品の備えもあり,日本の専門家は感染症の発生や国際的健康危機に対処する地域的,地球的規 模の協力においてWHO/GOARNの強力なパートナーとなることでしょう。一週間にわたるこの研修が成功裏に終了し,建設的なものになることを切に願っ ております。


長崎大学長   齋 藤   寛

 

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